- 2022.03.22 | 就活コラム
- 税理士事務所でコンサル?コンサルティングファーム以外の選択肢とは
この記事では、税理士が経営コンサルタントして活躍するための選択肢を紹介しています。
税理士として働いていると、お客様から会計や税務以外の課題解決を求められることは少なくありません。
経営コンサルティングのスキルを持っていればお客様が認識している課題だけでなく、お客様自身が気づいていない課題の発見、提案、解決へ導くことができます。
では、そんな経営コンサルタントになるためには、どこへ転職すべきなのでしょうか。
一般的なコンサルティングファーム以外の選択肢を紹介していきます。
CONTENTS
目次
1.コンサルティングファーム以外で経営コンサルタントになる方法
コンサルティングファーム以外で経営コンサルタントになるには、税理士法人へ転職することが1つの方法としてあります。
コンサルティング業務というと、コンサルティングファームへ転職するのが一般的だと考える方は多いでしょう。
しかし、実は税理士法人で経営コンサルティング業務を行うのは理にかなった選択だといえます。
なぜなら、中小・零細企業において、財政状況を把握して尚且つ信頼のおけるできる税理士に経営面での支援もしてほしいというニーズが高まりつつあるからです。
その背景には、日本の大半の事業者である中小・零細企業が、事業再生や資金繰り、事業継承など経営面における課題を抱えているにも関わらず、経営支援が十分に行き届いていないという実情があります。
そもそも企業の課題は、下記の4つに分類することができます。
・戦略系
・人事/販売等
・IT
・会計
上記の中でも戦略系や人事/販売等の課題に対しては、戦略系や総研系のコンサルティングファームが課題解決の支援を行っています。
しかし、戦略系や総務系のコンサルティングファームのクライアントは、大企業や官公庁がメインとなっているのです。
一方経営面での支援を必要としている中小企業に対しては、地場の税理士が担うことが多いです。
とはいえ、地場の税理士の中でも税務申告しか行なっていない税理士も少なくないことから、結果として中小・零細企業への支援が不足していると言われているのが現状なのです。
また、中小・零細企業は大手や中堅企業と違って専門の経営コンサルタントにかかる依頼費用の負担は、決して小さいものではありません。
さらに経営者によっては、財務的なアドバイザーと経営的なアドバイザーを別の担当者にすることで、どちらの提案を優先すべきか判断に迷う場合もあるのです。
そうした多角的な課題を抱えているからこそ、中小企業はトータル的に財務・経営を全般的にサポートしてくれるパートナーとして税理士に経営コンサルティングを求めていると言えるでしょう。
それでは、実際経営コンサルティングとして中小企業へ的確なアドバイスを提供するにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。
2.経営コンサルティングに必要な4つのスキル
経営コンサルティングをするのに必要なスキルは4つあります。
①経営に関する幅広い知識
②ヒアリング能力
③情報処理能力
④わかりやすく提案する能力
経営コンサルタントは、顧客の課題解決にとどまらず相手の期待以上の付加価値を提供することが求められています。
顧客の成長と発展、そして成功を実現させるためには、必要不可欠なスキルといえるでしょう。
ただし、上記4つのスキルは経営コンサルタントとして必要ではありますが、本当に顧客が求めているものとは異なります。
「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」
マーケティング業界において誰もが一度は聞いたことがある格言があるように、顧客はコンサルタントのスキルや能力そのものではなく、それらによって創り出された「成果」を求めているのです。
その為、本当の意味でソリューションを提案できる経営コンサルタントになるためには、スキルやノウハウをコレクトするのだけでは意味を成しません。
自ら主体性を持って顧客の立場に立ち、課題と解決策を明確化させ導くことが、経営コンサルタントとして重要と言えるでしょう。
経営は、どんなに規模の大きな企業であっても、どれだけAI化が進んでいたとしても、最終的には「人」で成り立っています。
理屈ばかりの頭でっかちな提案ではなく、経営者をはじめとした社員一人一人が課題解決へ向かえるような、血の通った提案が必要とされているのです。
こればかりは一長一短で身に付くものではないので、持続的にあらゆることへ挑戦し、経験を積み重ね、自分自身の人間性を磨いてほしいと思います。
それでは、実際スキルを持った税理士が税理士法人で経営コンサルティングをするとどのような成果を出すことができるのでしょうか。
これから実例を紹介していきます。
3.税理士法人における経営コンサルティング成果一例
税理士法人では具体的にどのような経営コンサルティングを行い、成果を出しているのでしょうか。
今回は実例を1つ紹介します。
【経営改善計画策定の取組みによる資金繰りの緩和と伝統技術の承継 】
ーA社(建築設計業)様の場合ー
■提供
・経営企画策定支援
・経営計画実行支援
■状況
・財務分析の結果、戸建て住宅の受注減少に伴い、現状の収益力では月々の返済額が重く、資金繰り状況が非常に厳しい。
・このままでは「会社存続」および「伝統技術を継承する大工職人の維持」が困難。
■課題⇒改善
・収益力に見合わない月々の返済額過多により資金繰りが悪化。
⇒返済計画を見直すことで月々の資金繰りを緩和。経営陣の精神的負荷軽減に成功。
・採算管理ができておらず収益が不明瞭。
⇒粗利を見積段階で管理し、適正な利益率での受注することに成功。
従業員にも現場でのコスト意識が芽生え・定着させる。
・待ちの営業のため受注件数の見通しが不透明。
⇒計画的な工事の受注体制を構築することで財務状態を回復。
■担当の声
経営改善計画の策定業務では、まずは財務分析と事業分析を行います。
その後、財務や損益、資金繰りなどについて中長期な数値計画へ落とし込みます。
経営陣とのヒアリングを通じて経営課題を抽出し、課題解決のためのアクションプランを落とし込み、経営者の思いが通った経営計画書を策定することに注力しました。
計画書の策定後は、アクションプランを経営陣から現場の従業員まで落とし込み、個人意識レベルまでの意識改革を図ることができました。
その結果、収益力の改善と職人の雇用維持・教育を図れるレベルまでに財務状況を改善させることに成功しました。
※上記の実例は「ひかり税理士法人」より引用しています。
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4.まとめ
いかがでしたか?
今回は、経営コンサルタントを目指すにあたって、コンサルティングファーム以外の選択肢についてお話してきました。
顧客の実情を踏まえ税理士事務所で経営コンサルタントを担うことは、結果として顧客をトータル的にサポートすることにつながります。
また、経営コンサルタントには4つのスキルが必要であり、さらに主体性を持って課題と解決策を明確化させることが大切ともお伝えしました。
経営は、部分的なサポートでは不十分です。
経営は「ヒト」を中心に成り立っていると伝えましたが、「モノ」と「カネ」も不可欠な要素であり、そのいずれかのみを強化されたとしてもバランスが整わず、スムーズにいくことは難しいでしょう。
コンサルタントも同様に、戦略コンサルティングやITコンサルティングなど、一部だけのサポートでは十分な支援とは言い切れません。
1人で全ての領域を担うことは簡単ではないからこそ、多面的な知識を持った課題解決のできる税理士法人が経営コンサルティングに向いているのと言えるのです。
また、自分自身が興味のあるコンサルティングは何なのか、目標とする経営コンサルタント像を設定し、その上で業界のプレイヤーから情報収集して学ぶことも大切です。
これから経営コンサルタントとしてキャリアアップするのであれば、すでに経営コンサルタントとして活躍している人が多くいる「税理士事務所」という選択肢も視野に入れて転職活動をしてみてくださいね。
ひかり税理士法人では、税理士の強みを活かした経営コンサルティングで顧客の経営支援を積極的に行っています。
ひかり税理士法人の求人もぜひ参考にしてみてくださいね。