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2020.02.17|CEOコラム

賢者は歴史に学ぶ~CEOコラム[もっと光を]vol.3

 インバウンド、とりわけ中国人観光客が激減しています。清水寺界隈で友人が経営する飲食店の来店客は7割減とのことで、その近隣のレンタル着物店は既に閉店したとのことです。小生の自宅から事務所までの通勤ルート途上に昨春オープンした小規模ホテルも数日前から灯りが消えたまま人が出入りする気配はありません。

 ここ数年、京都に殺到したインバウンドとそれを追いかけるように次々と開業した数多くのホテルや民泊に飲食店。オーバーツーリズム(観光公害)が叫ばれるほどの一大ブームに対して、何かコトがあれば一斉に雲散霧消するインバウンドを当てにしたビジネスの危うさを訴え続けてきましたが、今回の新型コロナウイルスによってその懸念は現実のものとなりました。

 今から遡ること30数年前、世はバブル経済を謳歌し、不動産や株式相場の右肩上がりの上昇を誰も疑わない中、「こんなアホな経済が続くはずはない」と思慮の浅い投資に対して警鐘を鳴らしていましたが、案の定、ほどなくバブル経済は崩壊し、投資家の破綻や金融機関の淘汰が相次いだことは歴史が証明するところです。あるいは、東日本大震災による原発事故のニュースが世界を席巻し、放射能に汚染された日本というレッテルが貼られて、照明の落とされた東京駅から外国人の姿が消えたのは、10年も経たない、つい先日のことです。

 なぜ、人はこうした歴史に学ばないのでしょうか。先行者利益の存在はともかく、猫も杓子も二匹目のドジョウを狙って同じことを繰り返したところで、誰かがババを引くことなど自明であるにもかかわらず、なぜホテルや民泊は雨後の筍の如く乱立したのでしょうか。今後、多くの事業者が破綻し、不動産価格も下落することは間違いありませんが、そうなって初めて経営判断のミスに気付くとしたら、経営者としては失格と言うほかはないでしょう。彼らが持つ辞書の中に「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言は載っていないようです。
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