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2025.06.16|CEOコラム

新京都駅の誕生か?-北陸新幹線延伸ルートの行方 ~CEOコラム[もっと光を]vol.280

 北陸新幹線の敦賀以西延伸をめぐり、京都市議会は去る6月6日、「大深度トンネルルートに反対する決議」を可決しました。地下水への影響や有害残土の処理をはじめ、文化財への影響に加えて情報開示の不十分さや採算性の不透明さなど、懸念は多岐にわたっています。この決議は、新幹線の延伸そのものに反対するものではありませんが、現行のルート案に対して再考を求める明確な意思表示であり、今後の計画に少なからず影響を与えるものと思われます。

 

 現在、進められているのは、「小浜・京都ルート」に基づく環境アセスメントであり、京都駅の南側(八条通と九条通の間)に地下40メートル超という大深度トンネルの築造が想定されています。しかし、京都市議会からの強い反発を受け、このままの計画で着工に至る可能性は低くなったといえます。与党プロジェクトチームが掲げる「2025年度中の着工」も困難となり、ルートや駅位置の見直しは不可避でしょう。

 

 こうした中で注目されているのが、「JR桂川駅周辺の浅層新駅」案です。この案は、地下水脈への影響を抑え、既存の鉄道ネットワークとの接続性にも優れ、環境負荷や残土の発生も大幅に軽減できるとされています。京都市議会の反対は大深度地下トンネルへのものであり、浅い地点での新駅設置や別ルートが提示されれば、一定の合意形成が可能になるのではないでしょうか。国やJR側も、こうした代替案を視野に入れているはずです。

 

 最終的には、「小浜・京都ルートを維持しつつ、京都市内のルートや駅位置を修正する」というのが最も現実的なシナリオと考えられます。敦賀-小浜間を先行整備しつつ、京都市との協議を並行して進めるというのが戦略的に有効でしょう。北陸新幹線の整備は東海道新幹線のバイパスとして有事の際に必要ですが、一方で、地域経済の活性化や環境への配慮、そして住民合意といった課題をクリアする必要もあります。その意味では、現在の京都駅から二駅大阪寄りの「JR桂川駅周辺の浅層新駅」が、その名も「新京都駅」として実現する可能性が高まったと予想します。

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