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2026.02.23|CEOコラム

監査は機能していたのか ~CEOコラム[もっと光を]vol.316

 近時報じられた巨額の会計不正事件に同一の監査法人が関与していた事実は、看過できない問題です。個別の事情があるにせよ、同一の監査法人が関与した企業で相次いで会計不正が露見した事実は、単なる偶然として片付ける訳にはいかないでしょう。監査法人は資本市場の信頼を支える公共的存在です。その責任の重さを思えば、「見抜けなかった」で済まされる話ではありません。

 

 監査は形式的な手続きの積み上げだけではなく、経営者の説明に対する「健全な懐疑」と「独立した判断」によって成り立つものです。それにもかかわらず、結果として不正が長期間是正されずに放置されていたとすれば、そこには業務の品質管理、法人の組織風土、ガバナンス体制の是非を含め、いずれか、あるいは複数に課題があったと考えざるをえません。厳しい言い方になりますが、重大な不正が同一法人の関与先で繰り返された事実は、監査法人としての統制力と自律性、その根幹にまで疑念が及ぶのもやむを得ない状況です。

 

 問題は、それがこの監査法人だけの問題にとどまらないことです。不正が露見するたびに「いったい監査法人は何を見ていたのか」という声が上がり、その矛先は業界全体に向けられます。多くの監査法人、そして現場の公認会計士たちは、厳格な基準と品質管理のもとで独立性を保ち、時には葛藤と対峙しながら必死に職務を遂行しています。それにもかかわらず、一部の監査法人の不祥事によって「監査法人はどこも同じだ」という一括りの視線が広がることは、誠実に職務を遂行する多くの公認会計士の努力を不当に貶めるものであり、業界全体の信頼を毀損しかねません。

 

 だからこそ、今回報じられている巨額の会計不正事件を曖昧な総括で終わらせてはなりません。個別の担当者レベルに矮小化するのではなく、監査法人としての組織の何がどう機能しなかったのかを徹底的に検証し、公に示す責任があります。それが行われなければ、業界全体の信頼を回復することは難しいでしょう。監査は「信頼のビジネス」です。その信頼を損なう行為には、制度的・組織的な検証と再発防止策を伴う厳しい自己検証が、業界自らの手で行われなければなりません。

 

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