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2026.06.08|前CEOコラム

破産した税理士法人から学ぶこと ~前CEOコラム[もっと光を]vol.331

 税理士も「士業」の一つとして、どこか安定している職業というイメージがあるようです。確かに、国家資格を有し、顧問先との継続的な関係に支えられていることがもたらす一般的な印象なのだとは思います。しかし、そのようなイメージや印象とは裏腹に、税理士法人が破産する事例がないわけではありません。最近報じられた老舗事務所の経営破綻や、新興事務所の急成長後の倒産などの事例を見ていると、専門資格を持っていることと、経営が安定していることは全く別の問題であることを痛感します。

 

 今年4月に破産した富山県高岡市の税理士法人は、長年にわたって地域で信頼を築いてきた老舗事務所でした。しかし、AIやクラウド会計の普及、価格競争の激化、人材流出などの環境変化に十分対応できず、資金繰りに行き詰まった結果の破産と報じられています。また、昨年10月に破産した山口県岩国市の税理士法人は、積極的な拡大路線を展開したものの、規模の拡大に管理体制や収益基盤が追いつかず、資金繰りの悪化によって破綻に追い込まれたようです。この二つの税理士法人の破産は、守りに偏っても危険、攻めに偏っても危険であることを示しています。

 

 さらに注目すべきは、表面的な破産理由の背後に、より本質的な問題が潜んでいる可能性があることです。巨額の損害賠償リスクや、拡大の過程で吸収合併した税理士法人が抱えていた負の遺産が顕在化したことが疑われるのです。たとえ専門家集団であったとしても、自らがリスク管理やガバナンスを誤れば経営基盤そのものが揺らぎます。そして、その過程で最も大きな打撃を受けるのが「信用」です。顧客や金融機関、職員からの信頼が損なわれれば、経営は急降下を余儀なくされます。

 

 税理士法人にとって、オフィスは豪華な方が良いでしょうし、顧問先の数や資格者の人数も少ないよりは多い方が良いでしょう。しかし、最大の資産はそれらではなく「信用」なのです。信用は長い年月をかけて築かれますが、失うのは一瞬です。だからこそ私たちは、専門知識の研鑽だけでなく、誠実な業務運営や適切なガバナンスにも目を向けなければなりません。紹介した税理士法人の破産事例は、「資格があるから安心」なのではなく、「信用され続けるから存続できる」という、当たり前でありながら見失いがちな事実を改めて私たちに教えているのではないでしょうか。

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