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2026.04.20|CEOコラム

機能不全の共犯者-社外取締役と監査法人 ~CEOコラム[もっと光を]vol.324

 先週4月17日金曜日、ひかりアドバイザーグループは結成20周年記念行事を挙行しました。そのような日に私たちの業務に関連する大きなニュースが2つも飛び込んできたのは、偶然とはいえ少々驚きを禁じ得ませんでした。そのひとつが滋賀銀行と池田泉州銀行による「池田泉州・滋賀アライアンス」の発表です。記念パーティーには両行の幹部にもご臨席いただいておりましたので、話題が集中したことは言うまでもありません。もう一つがニデックの会計不正を調査する第三者委員会からの最終報告書の公表です。そのような次第で今回は20周年記念行事のことについて触れたかったのですが、やはりニデックの問題に触れざるを得ません。

 

 この最終報告書を読み終えて残るのは強い違和感です。それは、社外取締役と監査法人という二つの不正抑止力が機能しなかったことの原因分析と責任追及が最終といいながら十分な踏み込みが欠けている点です。本来、経営の暴走や数値の歪みは、取締役会と監査の双方によって抑止されるべきものです。それが同時に機能しなかった以上、事件は単なる不正ではなく、統治と監査の二重の破綻と捉えるべきです。ニデックの社外取締役は官僚出身者や学者といった経歴はあるものの、現場に対する理解が欠落し、会社から提供される一方的な情報に依存するのみで、経営トップに異議を唱えることすらしない文字通りお飾りの人形たちでした。実質的な監督機能が発揮されない以上、取締役会は議論の場ではなく追認の場へと変質していたのです。ニデックにおける社外取締役制度は形骸化どころか空洞化していたと言わざるを得ません。

 

 一方、監査を担っていたPwC Japan有限責任監査法人の責任も極めて重いと言えます。ニデックの不正は複数拠点にまたがり、類似した手法で継続する構造的なものであったことが指摘されていますが、この種の不正は、分析的手続やグループ横断レビューによって検知されるべき類型に属します。それにもかかわらず長期間見過ごされたのであれば、問題は監査アプローチの設計そのものにあったと言わざるを得ません。経営者による内部統制の無視・無効化という基本リスクを織り込まず、結果として適正意見を表明し続けたのであれば、それは不正を抑止できなかったことにとどまらず、監査法人による信頼性の付与を通じて不正の継続さらには拡大を許したという意味で罪深いと言わなければなりません。

 

 この事件の本質は明白です。強烈なカリスマ経営者がいたから不正が起きたのではないのです。不正を抑止するべき仕組みが機能しなかったからこそ、その影響力が制御不能となったのです。社外取締役は愚昧にして識見浅薄、監査法人は才智拙劣にして思慮粗略という不幸が重なったとき、不正はもはや例外ではなく必然となります。この事件は会計不正の問題にとどまらず、企業統治と監査がいかに容易に空洞化し、互いに補完し合うどころか同時に無力化し得るかを示した典型例です。責任の所在を曖昧にしたままでは、この不正の構造は繰り返されるでしょう。

 

補遺
 ニデックの会計監査人は、1988年の上場以来、2006年3月期までは監査法人中央会計事務所京都事務所(その後、中央青山監査法人京都事務所に再編)が担当し、2007年3月期のみ中央青山監査法人のカネボウ粉飾見逃し事件による解体に伴って誕生したみすず監査法人京都事務所が引き継ぎ、2008年3月期からはみすず監査法人から脱退した一部のメンバーが設立した京都監査法人が就任しています。この京都監査法人は、2013年にPwCのメンバーファームとなり、2016年にその名称をPwC京都監査法人に改め、その後、2023年12月1日にPwCあらた監査法人と合併してPwC Japan有限責任監査法人となったという業界でも珍しい変遷をたどった独特の監査法人です。

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