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2026.04.13|CEOコラム

会社が三流なら、特別調査委員会も三流 ~CEOコラム[もっと光を]vol.323

 会計不正の原因究明と再発防止を目的として設置される第三者委員会や特別調査委員会に求められるのは、事実関係を客観的かつ冷徹に把握し、その構造を外部から検証可能な形で提示することにあります。言い換えれば、透明性・検証可能性・責任の明確化という三点を欠く調査結果は、その時点で内容的に「三流」と評価せざるを得ません。この観点からすると、去る4月3日にエア・ウォーター株式会社が公表した特別調査委員会報告書には看過し難い違和感があります。

 

 同報告書は不適切会計という重大事案を扱いながら、監査主体については「監査法人等」との表現にとどめ、正式名称についても曖昧に処理しています。しかし、監査法人名は有価証券報告書において既に公知であり、この段階で匿名化する合理的理由は見当たりません。問題は単なる記載方法の不自然さではなく、その結果として外部監査の機能検証が後退している懸念を払拭できません。匿名化は一見些細な処理に見えて、検証の射程そのものを狭小化しています。

 

 本来、この種の事案においては、どの統制がどの段階で機能不全に陥ったのかを具体的に示すとともに、外部監査がいかなるリスク認識のもとで、どのような監査手続を実施し、なぜ長期間にわたり問題を看過するに至ったのかを検証することが不可欠です。例えば、重要性判断の設定や経営者説明への依拠の程度といった論点は、本来避けて通れないはずです。それにもかかわらず監査の当事者を曖昧にしてしまったのでは、こうした分析は構造的に弱まります。その結果、責任の所在は企業側に偏ることになります。

 

 報告書における評価的記述に対する法的リスクへの配慮が必要であることは理解できますが、公知情報まで匿名化する対応は過剰防衛にほかなりません。それは外部監査の機能検証から距離を置こうとする姿勢の表れであり、第三者調査という枠組みを事後的な説明装置へと矮小化する危うさを示しています。会社のガバナンスが三流であることはエア・ウォーター株式会社だけでなく他社でも起こり得ますが、それを是正すべき特別調査委員会まで三流に堕してしまったのでは、制度そのものの信頼性を毀損しかねないことを危惧します。

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