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2025.12.01|CEOコラム

会計検査院と租税制度 ~CEOコラム[もっと光を]vol.304

 国民が納める税金は、国の予算として歳出に振り分けられ、行政サービスや公共事業、補助金、社会保障などに使われます。しかし、その使途が適正で、無駄なく効率的に運用されているかは、常にモニタリングされなければなりません。そこで登場するのが会計検査院です。憲法に基づき、会計検査院は内閣から独立した第三者の立場で、国の収入支出の決算を検査し、その適正性を担保する責務を負っています。税収という国家財政の根幹を前提に行政が動く以上、歳出や決算の透明性を確保する役割はきわめて重要です。

 

 税収は国家財政の基幹であり、歳出の原資となります。そのため、租税制度そのものや税収の徴収・運用、国庫への収納、さらに税収を使った補助金や交付金も、会計検査院の検査対象に含まれます。実際、検査院には「租税検査課」が設けられ、税務行政に係る会計や決算の適正性を検査しています。つまり、税収の使途だけでなく、「適正に徴収されたか」「法の趣旨に沿って制度が運用されているか」といった観点も、検査院によるチェックの射程に含まれるのです。

 

 先月公表された「令和6年度決算検査報告」では、検査院が歳出の無駄や不正経理の是正にとどまらず、税制の適正運用や制度の公平性・効率性に踏み込んで検査していることが示されました。たとえば、消費税の簡易課税制度について、多額の課税売上げを有する法人に対する制度適用の妥当性を検証しています。これは、租税制度の運用に歪みがないかを確認する事例です。補助金についても、不適正支出や過大支出、制度の目的との乖離がないかを検査しており、制度運用の公正性を担保する役割を果たしています。

 

 税制は国民にとって公平性や負担の妥当性が強く問われる制度です。したがって、制度設計のみならず、その運用状況や結果に対するモニタリングは不可欠です。その役割を担う会計検査院は、文字通り国民のための監査人であり、検査結果は単なる過去の不正摘発にとどまらず、制度設計や運用改善につながる提言も含まれます。政策立案者はこうした指摘に真摯に耳を傾け、制度運用に反映させるべきです。こうして考えると、「会計検査院 × 租税制度」の関係は、日本の民主主義と財政の健全性を支える重要な柱であると言えるのです。

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