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2023.11.20|CEOコラム

資格は汗と涙の結晶でこそ ~CEOコラム[もっと光を]vol.197

 公認会計士はもちろん、弁護士や医師になるためには所定の国家試験に合格することが必須条件です。一定の条件が満たされた場合に試験科目の一部が免除される例外的なケースもありますが、原則は「試験に受かること」が必要です。筆者も今から45年以上も前に受験生生活を送っていましたが、その時の経験が今に活きていることも事実であり、その意味で国家試験というハードルを越えることは職業専門家として必要な素養の一つともいえます。

 

 その一方で、税理士の場合は少し事情が異なります。もちろん国家試験である税理士試験に合格しなければならないことは他の資格と変わるところはありませんが、試験科目の免除が広範に容認されていることから、試験を一科目たりとも受験することなく資格が取得できるという歪な状況にあります。巷間でよく理解されているのは、一定の勤務年数を充足した国税職員に対して全ての試験科目が免除される結果、定年退職と同時に税理士登録をするという、いわゆる「OB税理士」の存在です。

 

 ところで、先週、税理士資格を持つ財務副大臣が固定資産税を複数回にわたって滞納して差し押さえまでされていたことを理由に更迭されるという前代未聞の事件がありましたが、この財務副大臣も税理士試験に合格することなく資格を取得していました。そのことはニュース等であまり報じられていませんが、かつては税法と会計に関する研究で修士の学位を取得すると全科目が免除されるという制度が存在しました。さすがに「それはないだろう」ということで制度は改められましたが、この副大臣は改正前の制度を利用して税理士になっていたというわけです。

 

 「国家試験を受験しなくても大学院で4年間勉強すれば税理士になれる」という謳い文句で大学院が税理士を粗製濫造していたと言うと少々言い過ぎですが、この制度を利用して税理士になったヒトたちが一定数存在することは事実です。もっとも、いったん税理士になってしまえば、その出自を進んで明かすことはしないでしょうが、この副大臣のように衣の下から出自が透けて見える事例は少なくないように思います。受験に向けた人並み以上の努力と試験当日の人知れぬ緊張感を経験することなく安易に取得した資格がゆえに職業倫理など素知らぬ顔ができるのだとすれば、やはり資格は汗と涙の結晶でなければならないと改めて痛感します。

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