Column
スタッフコラム
天に唾する減損会計~CEOコラム[もっと光を]vol.10
減損会計とは、事業に供している固定資産から得られる将来収益が低下すると予想される場合に、その固定資産の簿価を減額して損失を顕在化させる会計ルールをいいます。固定資産については取得原価主義会計のもとで減価償却によって費用化が図られていますが、それとは別に将来収益の低下を見積もることによって簿価を減額修正しようというものです。
これは従来の取得原価主義会計に修正を迫る時価主義会計の考え方の一つなのですが、収益の低下だけを捉えて逆に収益が増加した場合の手当は無視するという極めて保守的な会計ルールです。そもそも将来収益の低下をどのように見積もるのかは甚だ困難な問題であり、いわば神のみぞ知る将来の世界を、あたかも見通したかのように判断して評価するという不遜この上ない会計ルールなのです。
そのような不遜な会計ルールがここへきて大きく揺らいでいます。その原因は今回の新型コロナウイルス禍にあるのですが、先日の日経新聞が報じるところによると、コロナウイルス禍に伴う業績悪化を和らげるために、企業の減損処理については柔軟に判断できるようルールの適用を弾力化することが検討されているそうです。
つまり、自動車を生産しない工場や宿泊客のいないホテルは、当然のことながら将来収益は限りなくゼロですから、本来ならば巨額の減損処理が必要となるはずのところ、それでは業績が著しく悪化してしまうので、ルールを柔軟に適用することによって損失の計上を見送ることを容認するというわけです。不遜にも将来収益を見積もって固定資産を時価評価すると声高に叫びながら、コロナウイルス禍がもたらす急激な業績悪化に怯んでルールを緩和するとは何ともご都合主義と言うほかはありません。減損会計が天に唾するものであることを再認識させる話題として記憶にとどめておきたいところです。
これは従来の取得原価主義会計に修正を迫る時価主義会計の考え方の一つなのですが、収益の低下だけを捉えて逆に収益が増加した場合の手当は無視するという極めて保守的な会計ルールです。そもそも将来収益の低下をどのように見積もるのかは甚だ困難な問題であり、いわば神のみぞ知る将来の世界を、あたかも見通したかのように判断して評価するという不遜この上ない会計ルールなのです。
そのような不遜な会計ルールがここへきて大きく揺らいでいます。その原因は今回の新型コロナウイルス禍にあるのですが、先日の日経新聞が報じるところによると、コロナウイルス禍に伴う業績悪化を和らげるために、企業の減損処理については柔軟に判断できるようルールの適用を弾力化することが検討されているそうです。
つまり、自動車を生産しない工場や宿泊客のいないホテルは、当然のことながら将来収益は限りなくゼロですから、本来ならば巨額の減損処理が必要となるはずのところ、それでは業績が著しく悪化してしまうので、ルールを柔軟に適用することによって損失の計上を見送ることを容認するというわけです。不遜にも将来収益を見積もって固定資産を時価評価すると声高に叫びながら、コロナウイルス禍がもたらす急激な業績悪化に怯んでルールを緩和するとは何ともご都合主義と言うほかはありません。減損会計が天に唾するものであることを再認識させる話題として記憶にとどめておきたいところです。
Related Article関連記事
-
CEOコラム全拠点2025年6月16日
新京都駅の誕生か?-北陸新幹線延伸ルートの行方 ~CEOコラム[もっと光を]vol.280
-
CEOコラム全拠点2025年6月9日
人口減少時代に問われる真価 ~CEOコラム[もっと光を]vol.279
-
CEOコラム全拠点2025年6月2日
問われているのは伝統の固持ではなく政治の覚悟 ~CEOコラム[もっと光を]vol.278
-
CEOコラム全拠点2025年5月26日
年金改革法案について ~CEOコラム[もっと光を]vol.277
-
CEOコラム全拠点2025年5月19日
「経済学の訓練を受けた人」による真摯な議論 ~CEOコラム[もっと光を]vol.276
-
CEOコラム全拠点2025年5月12日
一事が万事 ~CEOコラム[もっと光を]vol.275
-
CEOコラム全拠点2025年5月5日
FMH&CX第三者委員会報告書に対する日本取締役協会の声明 ~CEOコラム[もっと光を]vol.274
-
CEOコラム全拠点2025年4月28日
「税」の違いと共通項 ~CEOコラム[もっと光を]vol.273
-
CEOコラム全拠点2025年4月21日
装いを一新した「相続オフィス」 ~CEOコラム[もっと光を]vol.272
-
CEOコラム全拠点2025年4月14日
明日、滋賀事務所が移転します ~CEOコラム[もっと光を]vol.271