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2024.04.30|CEOコラム

快哉の声を上げて溜飲を下げる ~CEOコラム[もっと光を]vol.220

 急ぎの所用があって配車アプリではすぐに呼べそうになかったので、大通りまで出て流しのタクシーに手を挙げました。タイミング良く個人タクシーが応えてくれたので、開けられた後部ドアから乗り込もうとした際、クルマのCピラーに貼付された「インボイス非対応」と書かれたステッカーが目に入りました。黒のボディに黄色のステッカーという組み合わせでしたから目に止まらないはずはありません。

 

 乗車して運転手の話を聞くと、「乗車を敬遠されて売上げは落ちるかもしれないが、納税とその手間のことを考えて免税事業者に留まることにしたので、件のステッカーを掲示している」とのこと。確かに、個人タクシーで免税点を超える売上げは難しいでしょうから、免税事業者として消費税の納税に関知しないという選択はあり得る話です。その結果、適格領収書を発行できないことから課税事業者(とその役職員)には忌避されますが、それは覚悟の上というわけです。

 

 このように、一枚の領収書をめぐって様々な思いが交錯するのが私たちが住む「正常な世界」ですが、その一方で領収書の存在を全く無視しても良い世界があります。「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」というのがあって、その第9条第1項には「議員は(中略)調査研究広報滞在費として月額百万円を受ける」とあり、続く第2項で「前項の調査研究広報滞在費については(中略)租税その他の公課を課することができない」とあります。つまり、国会議員には歳費以外に月額100万円、年額にして1,200万円もの領収書を必要としない支出が認められているのです。

 

 だから政治家ならぬ政治屋は一度やったら辞められないわけです。私たちのような給与所得者が所得税や住民税に加えて社会保険料を負担した後のいわゆる「手取り」で年額1,200万円を得るためには給与収入でザッと1,800万円ほどが必要ですが、そのためにはどれだけの汗を流さなければならないのかを知っています。その一方で、一滴の汗も流さずに与えられる金額の存在について、主権者である私たちは厳しい目を向けるべきではないでしょうか。時あたかも、この問題に後ろ向きな姿勢をとり続ける政党が国政選挙で全敗するという結果になりました。快哉の声を上げるとともに、溜飲を下げたことは言うまでもありません。

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