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スタッフコラム

2019.09.09|CEOコラム

商標登録はお早めに-自分の名前は自分で守る~週刊ひかり vol.23


 現在の会社法が施行されるまでは、既に他人が登記している商号と類似する商号を同一行政区内で使うことはできませんでした。 近隣に似たような名称の会社があると誤認が生じて取引の安全を阻害するとの考えから規制されていたのですが、いわゆる規制緩和の流れの中で撤廃されました。したがって、「ひかり税理士法人」の隣りに同じ「ひかり税理士法人」を名乗る事務所が開設されても文句は言えません。「そんなアホな」と思われるでしょうが、それが現実です。あえて言えば不正競争防止法の適用が考えられますが、業界法つまり税理士法が守ってくれることは決してありませんから、ここは自衛せざるを得ないのです。

 そこで、私達ひかりアドバイザーグループ傘下の各士業法人は、「ひかり」を商標登録することによって自衛していますが、かつて、その防衛機能が試される事例に遭遇しました。東京に「ひかり」を名乗る司法書士法人があったため、商標法に抵触する旨の警告を発したところ、相手方は「こちらが本家だ」と言って一向に譲る気配がありません。やむなく提訴したところ、当然ながら第一審で私達が勝訴し、相手方は控訴したものの知財高裁から和解勧告が出て、それに従う形で決着したのですが、相手方が法人名を変更したことはいうまでもありません。

 実は、この訴訟、専門士業が商標登録された名称を巡って争った日本初の事例として業界で注目を集めました。その結果、税理士法人や司法書士法人などの士業法人が相次いで自らの名称を商標登録出願したという経緯があります。類似商号規制撤廃後の名称防衛のあり方に一石を投じた結果になったわけです。特許庁の関連サイトにアクセスすると、登録されている商標を確認できますので、みなさんも一度ご自身の名称で検索してみてはいかがでしょうか。もし、見つけたら大変です。明日にも「登録商標の使用差し止め請求」なんて内容証明郵便が届くかも知れません(笑)。

 それはともかく、京都では「京都芸術大学」の名称を巡って争いが起きています。100年を超える歴史を謳う「京都市立芸術大学」に対して新興の「京都造形芸術大学」が造形の2文字を削除して「京都芸術大学」に校名変更することを文科省に届け出たというのです。で、お互いに今さらながらの商標登録出願。1日出遅れた京都市立芸術大学側が京都造形芸術大学に対して「京都芸術大学」の名称使用の差し止めを求めて提訴するというお粗末な事態に至ったようです。どっちもどっちで、部外者としては今後の推移を生暖かく見守ることにしますが、事前に怠りなく商標登録さえしておけば、こんな問題にはならないところ、「最高学府にしては何とも知恵の足らないことやな」と呆れるばかりです。
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