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2022.10.17|CEOコラム

鉄道開業150周年に思うこと ~CEOコラム[もっと光を]vol.141

 先週10月14日は「鉄道の日」でしたが、1872(明治5)年10月14日に新橋・横浜(現在の桜木町)の両駅(当時は「停車場」)で鉄道の開業式が行われてから今年でちょうど150年ということで、鉄道各社では150周年を記念する各種のイベントで盛り上がったようです。もっとも、ひとくちに150年といいますが、筆者が鉄道に関心を持ち始めたのは小学生の時でしたから、それから既に半世紀以上が経ったわけで、150年のうちの3分の1以上の歴史を知っているという意味では、それなりに筋金の入った「鉄ちゃん」だと自負しています(笑)

 

 この半世紀の歴史を振り返る中で最大の出来事は旧国鉄の分割民営化=JR7社の発足であったことに異論はないと思います。全国組織を一律にマネジメントすることの限界、慢性化した巨額の赤字と累増する債務、良くも悪くも政治の介入が避けられない体質、そして肥大化・先鋭化した労働組合の存在が旧国鉄に引導を渡すことになり、その結果として誕生したのが現在のJR7社であることはご承知の通りです。

 

 しかし、このJR7社による分割民営化が最適解であったのかどうか、35年を経過した現在、改めて疑問に思っています。誤解を恐れずにいえば、国民の共有財産であった全国総延長2万キロのレールをJR7社(貨物会社は線路を保有していないので、正確には6社)で切り刻み、不採算路線を安易に切り捨てる一方で、鉄道会社の衣を纏いながら、その実態は不動産会社に成り下がった姿には違和感を禁じ得ません。ちなみに、JR九州の連結売上高をセグメント別にみると、本業の「運輸サービス」より「不動産・ホテル」が上回っているのですから、もはや鉄道会社とは言えないのが実態です。

 

 歴史に「たられば」は禁物ですが、旧国鉄が分割されずにJR1社による経営改革が実現していたとしたら、次のような不合理なことにはならなかったでしょう。①JR7社間での受委託業務が極度に敬遠される結果、境界駅付近では双方の施設が乱立し、特に東海道・山陽新幹線では新幹線と在来線で完全に二重の駅施設となっている(例えば、京都駅にはJR西日本とJR東海の2人の駅長がいる)。②JR各社を跨ぐ長距離列車が運賃の取り分をめぐる争いでほぼ壊滅した。特に夜行列車に関しては夜行バスとの競争を敗因にするが、それだけが理由ではない。③イコカやスゴカにスイカなどJR各社のICカードが乱立し、結果として私鉄との競争力を弱体化させている。これがJR1社で発行されていれば、全国の利用者を囲い込んで金融面でも覇権を握ったと思われる。④…、とまだまだ言いたいことはありますが、今回はここまでにしておきます(笑)

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