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2022.09.20|CEOコラム

女王の相続税と天皇の贈与税 ~CEOコラム[もっと光を]vol.137

 相続税にも「お国柄」があって、その負担が重い国もあれば軽い国もあり、中には相続税そのものがない国もあります。シンガポールやマレーシアなどは相続税がないことで有名ですし、軽課国であるイタリアの場合、配偶者および一親等の親族が相続すれば100万ユーロ(約1億4千万円)まで非課税で、それを超える部分に4%(40%ではない!)の税率で課税されることになっていますから、わが国の状況とはかなり異なります。

 

 この点、英国の相続税は、32万5千ポンド(約5千万円)の非課税枠を超えた部分に対して一律40%(4%ではない!)の税率で課税されます。配偶者のみが全額相続する場合は非課税とされたり、遺産に居住用住宅が含まれる場合には、17万5千ポンド(約2千8百万円)の住宅非課税枠が加算されたりしますが、全体的な仕組みとしては、わが国の相続税に近いようです。

 

 さて、昨夜はエリザベス女王の国葬をライブ中継で視聴しましたが、これこそが国葬に値するものだと改めて認識するとともに、感動すら覚えました。その女王の遺産は3億7千万ポンド(約600億円)と推計されているそうです。バッキンガム宮殿やウィンザー城は王室財産ですが、終焉の地であるスコットランドのバルモラル城やイングランド東部ノーフォーク州にあるサンドリンガム・ハウスなどの個人所有不動産や数多の絵画・ジュエリーなどの評価額の合計を推計したとのことです。で、仕事柄、この600億円に対する相続税が気になっていたのですが、答えは「すべて非課税」だそうです。

 

 わが国でも、皇室に係る相続税が話題になることがあり、本コラムの2019年5月13日号でも触れたように、相続税法には「相続税の非課税財産」という規定があって、そこには「皇室経済法第7条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物」が例示されています。ただ、相続税法は生前譲位を想定していませんでしたので、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」によって、「皇位の継承があった場合において(中略)皇位とともに皇嗣が受けた物については贈与税を課さない」との規定を新たに設けました。つまり、想定外のことに対しても法律で明確にしておくことが重要だということです。

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