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2022.09.05|CEOコラム

予算から垣間見えるホンネ ~CEOコラム[もっと光を]vol.135

 去る8月31日、国税庁のホームページに「令和5年度 国税庁関係予算概算要求額」がアップされました。それによりますと、総額は6,555億円にのぼり、8月8日付の本コラムvol.131で触れた令和4年度予算の6,254億円から301億円増加し、対前年度比で104.8%になることが明らかにされています。

 

 この増額される301億円の内訳で目を引くのが、「酒類業振興事業経費」の13億3千万円で、対前年度比でも165.9%と他を圧倒しています。われわれ納税者にとって直接的な便益に繋がる「納税者利便向上経費」は僅か3億7千万円の増加に留まり、総額でも前者の33億5千万円に対して、29億8千万円と下回る数字になっていることに留意しておかなければなりません。

 

 前回のコラムでも指摘したように酒税の増収策に対して批判的な声が少なくないにもかかわらず、それに耳を貸すことなく、国税庁は「酒類業振興事業」に邁進するようです。昨年、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」において「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会を目指して」と大きな風呂敷をひろげたにもかかわらず、予算措置を見る限り、どこまで本気なのかよく分かりません。

 

 足許では、国税庁を騙るフィッシング詐欺の被害も報告されています。フィッシング対策協議会によると、「国税庁から未払い税金お支払いのお願い」といったタイトルで偽のwebサイトへ誘導して個人情報やクレジットカード情報を詐取するメールやショートメッセージが相次いでいるようです。酒類業の振興も結構ですが、他に優先するべき課題は山積しているのではないでしょうか。ここで方向を見誤ると「税務行政の将来像」が歪むのではないかと懸念します。

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