先週11日から今日17日までは「税を考える週間」です。国税庁では通年で租税の啓発活動を行っていますが、この期間には特に重点的な広報が展開されます。このキャンペーンの歴史は古く、1954(昭和29)年の「納税者の声を聞く月間」に始まり、1974(昭和49)年には「税を知る週間」へ、そして2004(平成16)年から現在の「税を考える週間」へと姿を変えてきました。つまり、税を単に「知る」にとどめず、「考える」ことが求められる時代になったということです。
税理士として日常業務に携わる立場から見ると、今年は特に「考える」テーマが多いと感じます。少子化の進行、社会保障費の増大、行政・企業・個人に広がるデジタル化の加速などなど。これらは税制のあり方にも、納税者を取り巻く環境にも、さらには税理士の役割にも大きく影響します。特に少子化が進む日本では、働き手の減少と社会保障ニーズの増加という難題が重くのしかかり、教育・医療・福祉・インフラの維持に必要な財源を限られた世代でどう分かち合うかという問題を避けて通ることができません。
実際、相談を受ける中で「この制度は持続可能なのか」「子育て世代の税負担はどうなるのか」という声を聞く機会が増えています。税がどう使われ、どのように未来につながるのかを丁寧に説明し、不安を和らげることは専門家として欠かせない役目です。しかし、それはまさに政治そのものであり、「税は政治である」と言われる理由でもあります。つまり「税を考える」ことは、「社会の運営と未来像を考える」ことと表裏一体なのです。
だからこそ、税を考える週間には、社会の未来を見据えて議論することにこそ意味があります。少子化が進む社会をどう支え、限られた人材でいかに価値を生み、どのように社会をマネジメントしていくか。その鍵を握るのは、やはりデジタル化への適切な対応です。DXの流れを積極的に取り込み、持続可能な社会に向けて税がどう使われるべきかをともに考えていくことが求められています。「税を考える週間」は今日で終わりますが、今年のテーマが「これからの社会に向かって」であったことは、まさに今後の議論の重要性を示していると言えるでしょう。