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スタッフコラム

2017.08.07|相続

知らなかったでは済まされません!相続の期限あれこれ

いざ相続が発生すると、残されたご家族には次から次へと手続きが待っています。その中には法律で期限が決まっているものや、順番に手続きをしないと先に進めないものも多く、一般の方がスムーズに手続きを完了させることは決して容易ではありません。

まずは、相続スケジュールの全体像を確認して、いざ相続が起こったときに慌てないようにしましょう。とくに期限のあるものは、知らなかったでは済まされませんよ!

1.一般的な相続スケジュール

一般的な相続スケジュールは次の流れになりますが、ここでは特に3ヶ月、4ヶ月、10ヶ月の期限を覚えてください。
 

  • 死亡(相続の開始) ~お通夜・お葬式/金融機関や保険会社に連絡
  • 7日 :死亡届を提出
  • 14日:年金・健康保険・世帯主等の手続き
  • 3ヶ月:遺産を引き継ぐかを決定
  • 4ヶ月:所得税や消費税の申告と納付
  • 10ヶ月 :相続税の申告と納付
  • いつでも:各種名義変更・解約手続き(不動産、預貯金、株式、自動車、カード類など)

 

まず、相続開始から3ヶ月以内に、財産を相続するか、相続放棄するのかを決め、放棄をする場合には、家庭裁判所に申述書を提出しなければいけません。

 
明らかに借金のほうが多く、財産を相続したくない場合は簡単ですが、判断に迷う場合には、相続財産の調査をし、遺産の評価額を概算計算して、もらうべきか放棄すべきかの見極めが必要になります。この3ヶ月という期限はあっという間なので注意が必要です。

 
財産の方が多そうだけど、もしかして知らない借金があるかも・・・という場合には、貰った財産の範囲内で債務を負担する「限定承認」の手続きが有効です。こちらも相続放棄と同様相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しないといけませんが、こちらは相続人全員での申述となりますので、ご注意ください。

 

亡くなられた方について確定申告が必要な場合には、相続開始から4ヶ月以内にその年の1月1日から相続開始日までの所得税や消費税を計算して、申告と納税を済ませなくてはなりません。これを「準確定申告」といいます。

2.期限までに分割できなかったときは?

亡くなった方の財産目録ができたら、相続人全員で話し合って遺産の分け方を決めます。これを「遺産分割協議」といいます。
 

もちろん遺言書がある場合には遺言書通りに分割しますが、相続人全員の合意があれば遺言に従うことなく好きに分けることができます。

 
では、遺産分割協議に期限はあるでしょうか?

  
答えは・・期限はありません。

 

相続人全員が納得するまでいつまでも話し合うことができます。もし、相続人だけでは話し合いができないということになると、公的な第三者に入ってもらったほうがスムーズに解決することがあります。この場合は家庭裁判所に調停の申し立てをおこない、話し合いを続けます。それも不調に終わった場合には審判の申し立てと進みます。

 

ただし、税となるといつまでも待ってはくれません。相続税の申告が必要な場合(つまり遺産総額が相続税の基礎控除額を超える場合)、申告と納税の期限が相続開始から10ヶ月と決められているため、その期限までに遺産分割が整ってなかったとしても、未分割のまま申告と納税をしないといけません。

 

この場合の相続税額の計算方法は、仮に各相続人が法定相続分で財産を相続したとしたらいくらの税金になるのかを計算します。つまり、財産をもらってなくても、申告書を期限までに提出し、それぞれの相続人が一旦納税を済ませる必要があるのです。

3.あらかじめ準備をしておきましょう

このように、相続税については未分割であっても税金を納めないといけませんが、分割ができていないということは、残された預貯金や株なども凍結されて引き出せないままですので、もらった財産から納税するということができません。

 

さらに、相続税法には、配偶者は相続税を納めなくていいという規定や自宅の土地を同居している相続人が相続して住み続けた場合には評価額を8割減額しますよという優遇措置がありますが、どの財産を誰が具体的に相続するか決まっていない未分割の場合にはこれらの特例も使えないので、相続税が割高になります。

 

また、相続税の申告が不要な場合であっても、未分割の状態では不動産の売却もままならず、預貯金の払い戻しもできないため、固定資産税や生活資金、さらには借入金の返済に窮してしまうという事も考えられます。

 

期限までに遺産分割ができない、つまり相続争いがおこる可能性が少しでもあるならば、残されたご家族の生活のためや争いを避けるために、遺言書の作成や、財産を不動産などの分けにくい財産から預金や保険などの分けやすい財産に組み替えることも検討されるといいでしょう。

 

そのほか、お葬式の内容や呼ぶ人を生前に決めておくことや、自身の財産の洗い出しをして一覧表を作っておくということも、いざ相続が発生したときにスムーズに進められる事前対策となります。

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