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スタッフコラム

相続オフィス
2025.10.20|相続

認知症と相続対策②(全3回)

高齢化が進むいま、「認知症になったら財産はどうなるの?」というご相談が増えています。
認知症は誰にでも起こり得ることであり、ひとたび発症すると、財産管理や相続の手続きに大きな影響を及ぼします。
このコラムでは、認知症と相続・税の関係について、3回にわたってわかりやすく解説します。
第1回は「認知症になるとできなくなること」、第2回は「代表的な2つの認知症対策」、そして第3回では「実際の成功事例」をご紹介します。

1.第2回:代表的な2つの認知症対策

~成年後見制度と家族信託の使い分け~

第2回のテーマは代表的な2つの認知症対策である「成年後見制度」と「家族信託」についてご説明します。
どちらも判断能力の低下に備える制度ですが、その目的と使い勝手には大きな違いがあります。

【事例】
80代の父親が脳梗塞を発症。息子が介護施設入所の費用をまかなうため、自宅の売却を検討しましたが、「本人の判断能力が確認できないと契約は無効」と指摘され、手続きが進みませんでした。
そこで成年後見制度を利用して後見人を選任しましたが、後見人の許可や家庭裁判所への報告などに時間を要し、結果として入所まで相当の時間を要しました。

成年後見制度の特徴

成年後見制度は、判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選任し、本人の財産を法的に保護する仕組みです。
【メリット】
・法律に基づく強力な保護が受けられる
・後見人が不正を防ぎ、財産が守られる
【デメリット】
・家庭裁判所の監督下に置かれ、使途の自由度が低い
・本人の利益のため以外には財産を動かせない
・手続きや報告に時間と費用がかかる

つまり、「財産を守る」ことに重点が置かれた制度といえます。

家族信託の特徴

一方、家族信託は、元気なうちに信頼できる家族(受託者)に財産を託し、将来の管理や処分を任せる仕組みです。
認知症になっても、受託者が契約に基づいて柔軟に財産を活用できる点が大きな特徴です。
【メリット】
・認知症後も資金移動や不動産売却がスムーズ
・家族の判断で柔軟な対応が可能
・遺言代わりとして相続承継の設計にも使える
【デメリット】
・設計を誤ると贈与税などの課税リスクがある
・信託契約書の作成に専門知識が必要

つまり、家族信託は「財産を活かす」ための制度といえます。

どちらが優れているというより、ご家庭の目的や状況によって使い分けが大切です。

次回は、実際に家族信託を活用して「親の介護と資産承継の両立」を実現したケースをご紹介します。

👉 「詳しく知りたい」と思われた方は、ぜひ無料相談をご利用ください。
(文責:相続オフィス 北原)

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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