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スタッフコラム

2017.07.31|相続

贈与するときは契約書を作った方がいいの?

1.贈与による節税が注目されています

平成27年1月より相続税が増税され、早や2年以上が経過しました。増税により、相続税の申告件数は1.8倍になったとも言われており、相続税は決して他人事ではなくなりました。

 

そこで、最近は、贈与による相続税の節税が注目されています。それでは何故、贈与をすることで相続税の節税ができるのでしょうか?

 

相続が発生したときは、亡くなったときにある相続財産に対して、相続税がかかります。 

 

一方、贈与の場合は、自分が死ぬ前に所有している財産を、少しずつ移すことができ、かつ、受け取る側(渡す側ではありません)の金額が毎年110万円までであれば、贈与税はかかりません。そのため、継続して複数人に110万円贈与をしていけば、贈与税を支払わなくても、何年か経てば相続財産を大きく減らすことができ、結果として相続税の節税ができるのです。

 

たとえば、110万円を3人に贈与して、それを10年間継続したとすると、合計で3,300万円もの財産を子や孫に移すことができます。そうすると、3,300万円分の相続財産を減らすことができるので、贈与をしなかった場合と比べて相続税も大幅に減額されることになります。

2.贈与ってどうやるの?

それでは、贈与をしようとする場合、どうすればいいのでしょうか?

 

実は、贈与をすることはそんなに難しくありません。贈与は、「○○円をあげます」「もらいます」といった意思がそれぞれにありさえすれば口頭で成立します。贈与する財産は何でもよく、また、誰にでも贈与することができます。

 

このように、法律的には、お互いの「意思」がありさえすればよく、契約書を作らないと贈与が成立しないということはありません。

3.それなら、贈与をするときに契約書は作らなくてもいいの?

上記のように、贈与をする場合、法律的には、契約書を作らないといけないというわけではありません。しかし、契約書を作っておかないと、あとで色々な問題が起こる可能性が高くなります。

 

たとえば、亡くなった人の通帳に記録されているお金の流れは、実は、相続人であれば調べることができます。そのため、亡くなってから「○月×日に、お父さんの口座から兄さんの口座にお金が振り込まれているけど、これは通帳を預かっていた兄さんが勝手に振り込んだんじゃないの?」などと言われる可能性があるのです。

 

そのときに贈与の契約書がなければ、「これはお父さんがあげると言っていたんだ」といくら主張しても、それを完全に証明することは難しいでしょう。一方、贈与の契約書があれば、きちんとお互いの意思(特にお父さんの「あげるよ」という意思)をハッキリさせることができます。

 

このように、贈与の契約書は、お互いの意思、特に、財産を渡す側の「あげるよ」という意思を明確にするために必要になるのです。

 

また、不動産の贈与をする場合は、贈与の契約書がないと、そもそも不動産の名義変更をすることができないので、契約書を作ることは必須となります。

 

その他に、会社経営をしている方が、自社株の贈与をする場合は、契約書がないと贈与の事実が客観的に証明できません。不動産であれば登記により、だれから、だれに、いつ移ったか記録が残りますが、自社株の場合は、他に証明するもがありません。また、税務調査で否認されることがないようにするためにも、やはり契約書を作っておくべきです

4.贈与の契約書を作るときの注意点は?

贈与の契約書を作る際の注意点がいくつかあります。

 

まず、契約書には、お互いに署名(自署)をきちんとしておくということです。もちろん、お互いの名前をワープロで入力して印字していても、贈与自体が成立していれば、契約書としては有効です。ですが、契約書に署名をしておけば、証拠としての効力が非常に高まります。もし、病気などで手が動かせず、契約書への署名が難しければ、実印を押してもらえればOKです。

 

次に、確定日付をもらっておくと、契約書の証拠としての効力が更に高まります。確定日付とは、「平成○年○月○日に、この文書(今回でいうと贈与契約書)が存在していた」との証明をしてもらうことです。この確定日付をもらっておけば、「後付けで作ったんじゃないのか?」といった指摘を避けることができます。確定日付は、公証役場にてもらうことができます。費用は1通700円で、契約書をもっていけば誰でも確定日付をもらうことができます。

 

最後に、お互いの「あげます」「もらいます」の意思確認がしっかりできるかにも気を付けるべきです(特に「あげます」の方)。たとえば、あげる側が高齢で、既に重度の認知症になっているような状態では、いくら本人が「あげます」と言っていても、その贈与は有効なものとは言えないでしょう。本人の意思確認ができるかどうかは、契約書をどのように作るか以前の問題です。この意思確認の問題も、あとから「○月○日に、お父さんから兄さんへ贈与をしているようだけど、あのときは既にお父さんは認知症になっていたんじゃないの?」などと言われる可能性があるので注意が必要です。

5.まとめ

このように、贈与をするときは、どんな場合でも契約書は作っておくべきです。更には、契約書にお互いに署名(もしくは実印)をしておき、公証役場で確定日付をもらっておくといいでしょう。また、あげる側に認知症などの懸念があるようなケースでは、「判断能力に問題がない」旨の診断書を予めもらっておく方が望ましいでしょう。

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