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スタッフコラム

2017.09.06|相続

相続で、忘れちゃならない”遺留分”

1.遺留分とは?

遺言書は、自分がいなくなった後に家族に思いを伝えるための大切なツールです。しかし、一方で、遺された家族の今後の生活を考えておく必要があります。

 

たとえば、夫の収入を頼りに生活をしてきた妻が、一人遺された場合に、遺産を全て愛人に渡すといった遺言書が書かれていたら、その妻はこれからどうやって生活をしていけばいいのでしょうか。

 

このようなことが起こらないよう、相続人は、相続において、最低限の遺産の取り分が確保されており、これを「遺留分」と言います。

 

そして、その「遺留分を下さい」と請求することを「遺留分減殺請求」と言います。

 

遺留分は、基本的には、遺言書が存在しているときに問題となります。

 

それでは、遺留分はどれだけ確保されているのでしょうか。基本的には、法定相続分の半分と覚えておいてください(直系尊属のみ、つまり親だけが相続人となる場合は別です)。

 

例として、妻と子ども2人が相続人の場合で考えてみましょう。
まず、子ども1人の法定相続分は1/4となります。
そして、遺留分はその半分の1/8となります。

 

つまり、子どもは、遺言書の通りに分けた場合に、もらえる遺産の割合が1/8に満たないときは、「ちょっと待った!私は遺産をもっともらう権利がある!」と主張することができるわけです。

 

遺留分は、遺言書で定めた分け方に優先するので、遺言で「財産は全て子Aに渡す」とした場合でも、子Bが遺留分を請求したら、その分(1/8)を渡さなければなりません。

 

このように、遺留分は遺言に優先する強力な権利です。

2.相続対策における遺留分のポイント

それでは、相続対策における遺留分のポイントを説明します。我々は相続対策のご相談を受けた際には、以下の点に留意してアドバイスをするようにしています。

 

上記の通り、遺留分は非常に強力な権利ですので、相続対策を考える際には常に気を付けておかないといけません。

 

①遺留分は、請求されない限りは渡す必要がない
遺留分は、「相続における最低限の取り分」です。ですが、必ずしも、もらわないといけない権利ではありません。

 

つまり、子Bが遺言書の内容に納得して、「全部子Aがもらっても構わない」と思い、何も言わなければ、遺留分を自分から渡す必要はありません。

 

また、遺留分は、ざっくり言うと相続から1年を経過すると時効になります。つまり、遺留分を請求できることを知らずに、相続から1年経過するとタイムリミットとなり、以降は請求することができなくなります。

 

②生命保険は遺留分の対象とはならない
遺留分の金額を計算するときに、遺産の総額が計算の元となりますが、実は、生命保険は、遺産には含まれず、遺留分の対象となりません。

 

生命保険は、難しい言い方をすると「相続人固有の権利」とされています(簡単な言い方をすると「受取人が問答無用で受け取れる」ということです)。

 

このように、生命保険は遺留分の対象とならないため、現金の一部を生命保険にしておく、いらない不動産を売却してお金にして、そのお金を生命保険にしておく、といった方法が相続対策に有効です。

 

生命保険にしておけば、遺留分の対象にならないため、財産を多めに渡したい相続人に、より確実に渡すことができます。

 

(ただし、財産の大半を生命保険にしていた場合などには、その生命保険が「特別受益」と認定され、一部を渡さないといけない場合があるので注意が必要です。)

 

③兄弟姉妹には遺留分がない
実は、亡くなった人との関係により、遺留分がある相続人と、遺留分がない相続人がいます。

 

亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になる場合に、兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

兄弟姉妹が相続人になるのは、夫婦(いずれかに相続発生予定)に子どもがいない(もしくは独身)で、両親が既に他界しているケースですが、この場合には、兄弟姉妹には遺留分がないため、財産の遺し方を自由に決めることができます。

 

たとえば、遺言書で全部妻(もしくは夫)に渡すと定めるのもOKですし、お世話になった団体に全額寄付をすることも可能です。

 

いずれの場合でも、遺言書が有効な限り、兄弟姉妹は何の文句も言えません。

 

このように、兄弟姉妹が相続人となる場合には、遺言書を作ることで、兄弟姉妹の遺留分を気にせずに、自由に財産を分けることが可能となります(なお、この場合でも自分の配偶者の遺留分はあります)。

 

いかがでしたでしょうか。相続対策を考える際には、遺留分のことは必ず考えなければなりません。

 

その他にも遺留分のポイントは数多くあるので、相続対策を進める場合は専門家に相談しながら進めましょう。

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