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スタッフコラム

2017.09.22|相続

老後のいざと言うときに、後見人

誰しも年をとると、心身ともにさまざまな問題が生じてきます。

ちょっとした段差につまずいたり、アレコレソレなど固有名詞が出てこない、メガネを探していたら既にかけていた、なんてことが笑い話ではなくなる日が来るかもしれません。

それでも、普段の暮らしに支障がなければ、そう不安に思うこともないでしょう。

ですが、日常生活を送るのに支障が出るぐらい状態が悪化して、自分で自分のお金の管理も出来なくなってしまったなら、どうしたらいいのでしょうか。

お金を引き出すにはどうしたらいいかわからない。
悪徳商法に騙されて、高額な品物を購入してしまう。
外に出ると自分の家がどこにあるのか思い出せない。


そんなとき、代わりに財産の管理をしてくれるのが「後見人」です。

未成年の後見人だと「未成年後見人」といいますが、今回はそれ以外の「成年後見人」についてご紹介していきます。

1.成年後見2つの種類

成年後見には大きく分けて法定後見と任意後見の2種類があります。法定後見はその中から更に3つに分けることが出来ます。

 

成年後見

  • 法定後見
  1. 後見
  2. 補佐
  3. 補助

 

  • 任意後見

任意後見と法定後見の一番大きな違いは、判断能力があるうちに後見人を決めておいたかどうかです。それぞれの特徴につき、下の表に簡単にまとめてみました。

 

  法定後見 任意後見
後見人となる人 家庭裁判所に選ばれた人
(法律の専門家など)
自分で選んだ人
利用開始 判断能力がなくなってから 判断能力が低下したら
後見監督人の有無 裁判所の判断 必ずつく
代理権の範囲 家庭裁判所が定める 本人が決めておける
取消権 あり なし

2.法定後見とは

法定後見には、本人の判断能力の程度に合わせて3つのパターンがあります。

 

判断能力がしっかりしている順に、補助>保佐>後見となります。

 

ざっくりとしたイメージでいうと、補助は、「まだまだ元気で、自分で自分のことは出来るけど、高い物を買うときなどには、補助人の同意を必要としておいた方がいいかな」といった感じです。

 

保佐は、「不動産や高額な財産の売買、借り入れなどの重要なことを一人で判断するのはちょっと心配なので、これらの行為については保佐人の同意を必要とします」といった感じです。

 

後見は、「もう自分でほとんど何も出来ないから、後見人に代理をしてもらって全てやってもらおう」となります。

 

3つのケースの中で、一番多く利用されているのが「後見」なので、以下は「後見」についてのお話です。

3.後見と裁判所

それでは、その人に後見人が必要かどうかは誰が決めるのでしょうか。それは、家庭裁判所が審判により決定します。もちろん、裁判官もお医者さんではありませんので、主治医の診断書や鑑定書などの資料を元に判断をすることになります。そのため、家族が「お父さんは後見になるはずだ」などと思っていても、裁判所の判断により、保佐や補助の審判がなされることもあります。なお、裁判所の審判には概ね3ヶ月程度の期間がかかります。

 

次に、後見人を選ぶのも、家庭裁判所が選びます。最近の傾向として、親族が後見人として選ばれるケースは非常に少なくなっています。親族による横領や使い込みなどの不正が相次いだためです。そのため、一般的には、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門家が後見人となります。

 

また、財産が多い人などは、後見人をさらに監督する人(監督人)を裁判所が選任することがあります。

 

後見人や監督人に専門家が選ばれた場合には、本人の財産から報酬を支払う必要が生じます。その報酬の金額も、財産の内容を元にして裁判所が決定します。

 

なお、後見人を付けるきっかけとして、不動産の売却や定期預金の解約などがありますが、一度、後見がスタートすると、基本的には、被後見人(後見を受けた人)が亡くなるまで続きます。そのため、報酬も後見が継続している限り、かかり続けることになります。

 

さらに、最近では、親族が後見人になった場合には、日常生活に必要な金額を超える現金(概ね1,000万円)については、信託銀行に信託するように裁判所から指示が出されることがあります。親族による不正を防止するためです。これを成年後見制度支援信託といいます。

 

そして、親族が後見人になっても、専門家が後見人になっても、日々の財産の管理については、定期的に裁判所への報告が必要となります。裁判所が定期的にチェックをすることにより、横領や使い込みを未然に防ぎます。

 

また、居住用不動産を売却する場合には、裁判所の許可が必要となります。たとえば、被後見人が老人ホームに入居しており、その費用に充てるために住んでいた自宅を売却する場合には、家庭裁判所の許可を得てからでないと、後見人は売却できません。

 

最後に、被後見人が亡くなった後も、後見人が裁判所に財産の状況などを報告しなければなりません。

 

このように、後見人任せではなく、裁判所も財産の使い方をチェックすることで、本人の財産を守り、適切に管理していくようにしているのです。

 

任意後見についてはまた別の機会にご説明いたします。

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