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2023.01.10|経営

中小企業の戦い方「ランチェスター戦略」

「今年はどんな一年になるだろうか」「どのように会社をかじ取りしようか」

 このように考えておられる経営者の方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
新年の節目のこのタイミングで今一度自社の経営資源を見つめ直し、今後の経営を考える参考になればと思い、今回は弱者の戦い方として有名な「ランチェスター戦略」をご紹介します。

1.「弱者(中小企業)が強者(競合他社)に勝つ」ための戦略

弱者(中小企業)が強者(競合他社)に勝つための戦略として最も有名なものに

ランチェスター戦略」があります。

 

中小企業が勝ち残るために一体何をすべきでしょうか。
これをすれば誰もが絶対成功する、そんな明確な答えはありません。
会社はそれぞれ資金力も人的資源も、知名度も何もかもが異なるためです。

そうです、「何もかもが異なる」のです。

 

言い換えると「どんな企業にもその企業独自の強みや特徴がある」のです。
その強みや特徴というのは、世間的に見たら一般的かもしれません。
ですが特定の地域、顧客層、商品、流通手段といった切り口で考えると

実は業界内や特定の顧客に対しては強みとなっている場合があります。

 

地場の工務店とハウスメーカーと呼ばれる大手を例に挙げると、前者は全国的な知名度は劣るため、

一般的に弱者=工務店、強者=ハウスメーカーと思われるかもしれません。

しかし、特定のエリアではテレビCMや折り込みチラシ等の広告で工務店が広く認知され、

「(このエリアで)家を建てるなら〇〇工務店に相談しよう」と真っ先に思ってもらえると

高いシェアを取ることが出来ます。
つまり、特定のエリアにおいて弱者はハウスメーカーで、強者は地場の工務店ということになります。

 

このように自社の強み・特徴を活かして「弱者が強者に勝つ」ための戦略、それが「ランチェスター戦略」です。

2.ランチェスター戦略の結論

ランチェスター戦略について深堀する前に、先にこの戦略の重要な3つの考えを紹介します。

ナンバーワン主義
 一般的な1位、2位ではなく、圧倒的な1位、具体的には市場占有率約40%以上(安定目標値)を目指すという考えで

 ランチェスター戦略で最も重要な考えです。2位以下の射程圏内に入らないことが目標です。

 

足下の敵攻撃の原則
目標はナンバーワンですが、戦うのは「自社より下位の相手」という原則です。上位と戦って疲弊をするより、

下位と戦って格差を広げることが重要です。攻撃対象と目標を切り分けます。

 

一点集中主義
中小企業は経営資源が限られているので、自社の強みを最大限活かし、戦う相手を絞ることで、

効率よく戦わなければなりません。やらないことを決める、取捨選択が必要です。

3.ランチェスター戦略の2つの要素 ①ランチェスターの法則

ここからランチェスター戦略を説明します。この戦略は

 

①2つのランチェスターの法則

②ランチェスター戦略方程式

の2つの要素からなります

 

ランチェスターの法則
 第一法則=弱者の戦略
  局地戦、接近戦、一騎打ちの場合に当てはまる戦闘力の法則。質×量
  (例)5人のA軍と3人のB軍が武器効率(質)が同じ武器を持って戦った場合、

   人数の多いAが勝ちます。Bが勝つにはAより効率の良い武器が必要です。

 第二法則:強者の戦略
  広域戦、遠隔戦、集団戦の場合に当てはまる戦闘力の法則。質×量の2乗
  (例)5人のA軍と3人のB軍が武器効率(質)が同じ武器を持って戦った場合、

   人数の多いAが「圧倒的に」勝ちます。

   Bが勝つのは難しいためこの状況を避けなければならないでしょう。

   「足下の敵攻撃の原則」ではこの法則を用いて下位と同じ戦いをすれば、勝利できるでしょう。

 

以上をまとめると、当然ですが数が多い方が勝つことが分かります。

大事なことは弱者は弱者の戦い方をすべき、という点です。

4.弱者の戦い方は差別化戦略

では弱者はどのように戦うべきなのでしょうか。

それはランチェスターの第一の法則を使った差別化です。

局地戦、一騎打ち、一点集中で他社に徹底的に差別化を図ることです。

 

冒頭の例では地場の工務店がハウスメーカーにも勝てると言いましたが、

自社の基盤があるエリアを限定し、自社の強み(=差別化)を効果的にアピールするからこそです。

もし競合ひしめく地域に新たに出店して同様のことを行っても、勝ち残ることは難しいでしょう。

 

差別化をするポイントを考えるときには、

マーケティングの4P(※)+サービス+地域の6つで考えるといいでしょう。
さらに、明確に差別化を図るにはこれらを複数組み合わせることが必要です。

街の電気屋を例にすると、他社より○円安いだけでは差別化は難しいですが、

「地域最安値」などと謳うことで、地域と価格の2つの要素で差別化できます。

そのうえ、店独自のアフターフォローを付けるなどすればサービス面で違いをアピールできるでしょう。

 

ここまでランチェスターの法則について紹介しました。

繰り返しになりますが弱者は弱者の戦い方(第一の法則)で差別化を図ることが強者に打ち勝つポイントです。

 

※マーケティングの4Pとは

①製品(Product)、②価格(Price)、③流通(Place、販売の仕方)、④プロモーション(Promotion)です。

5.ランチェスター戦略の2つの要素 ②ランチェスター戦略方程式

続いてはランチェスターの戦略方程式です。

ランチェスターの法則で出てきた武器効率を【戦「略」力】と【戦「術」力】という要素に分け、

最小の労力で最大の成果を上げるには戦略力:戦術力=2:1が重要と言われています。

戦略とは目に見えないもの、全体計画を、

戦術とは目に見えるもの、具体的な作業や道具(武器)を言います。

 

例えば釣りをするときに、いくらいい道具を持っていても、

場所や時間(釣りの計画=戦略)を間違えては魚を釣るのは難しいでしょう。

ビジネスにおいては、自社の取る戦略に合わせて適切に経営資源を配分するということと考えられるでしょう。

 

この方程式を基にどれだけの市場を取れば(市場占有率)強者となるのかが導き出されています。

73.9%:上限目標値、圧的No.1

41.7%:安定目標値、ほぼ一人勝ち

26.1%:加減目標値:強者の最低条件

数字が細かいため75%、40%、25%と大雑把で十分です。

弱者はこの数字を目標に占有率を高めることを目標にしますが、自社が戦う市場を限定することが重要です。

ナンバーワン主義によると②の安定目標値を目指すことで強者になれます

6.最後に

今回のコラムではランチェスター戦略をご紹介しました。

フレデリック・ランチェスター氏が第一次世界大戦で導き出した戦い方の法則を、

故田岡信夫氏が体系化した競争戦略がランチェスター戦略です。

冒頭で中小企業の戦い方と書きましたが、

H.I.S.やハーゲンダッツなど著名な企業も取り入れている戦略で事例などもたくさんあります。

ご興味のある方は一度お調べください。

 

世界的な高インフレ、急激なインフレ、原油・原材料の高騰、コロナ禍の継続などなど、2022年は激動の1年でした。

目まぐるしく変化するマクロ環境に対して、日々悪戦苦闘する年になりました。

中小企業を取り巻く環境はより一層厳しいものになり、今年もまた一段と難しい経営環境になると予想されます。

弊社の業務に関わる範囲でも10月にはインボイスが、翌年1月からは改正電子帳簿保存法が始まります。
刻一刻変化する環境に取り残されず、そのうえで勝ち残るために何をすべきか。

このコラムが、新年の節目に一考する参考になれば幸いです。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

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(文責:経営戦略室 中田)

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