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スタッフコラム

福岡事務所
2022.09.16|相続

相続税申告の流れ

 大切な家族が亡くなった時は、お葬式や埋葬、役所への届出等をするほかに、亡くなった方の財産状況次第では、相続税の申告・納税をする必要が出てきます。

1.相続税の申告期限

 相続税の申告に関しては、明確に申告期限が決められており、亡くなった事を知った翌日から10ヶ月以内となっております。期限内に申告・納税が終わらない場合は、延滞税をはじめとするいろいろなペナルティーが発生しますので注意が必要です。ただし、正当な理由があった場合は、申告期限を延長する事も認められています。

 

 相続税申告・納税期限が10ヶ月以内と聞くと、他の税目に比べれば長いと感じるかもしれませんが、亡くなった方の遺産や債務の状況、相続人の確認、残されたご家族が対応しないといけない事等、思っているよりも資料が揃わなかったりする事がある為です。何より普段聞きなれない書類をそろえていただく事になりますので、遺族の方々は大変です。

 

2.亡くなった人が毎年確定申告をしていたら

 さらに亡くなった方が毎年確定申告をしていたのであれば、準確定申告を行う必要があります。こちらも亡くなった事を知った日から4ヶ月以内に申告・納税をする必要がありますので、必ず確認をしなければいけません。

3.亡くなった人の財産等が確定したら相続税申告書の作成

 亡くなった方の遺産と債務の調査が終わり確定した時点で、遺言書が無い場合は、相続人全員で話し合って、財産を分ける事になります。中には遺産を相続したくないと言う方もいらっしゃいますので、その時は亡くなった事を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する必要があります。

 

 何事もなければ、相続人どうしで財産を分ける事となり、遺産分割協議書を作成し、遺産分割協議書をもとに相続税の申告書の作成となります。遺産分割協議書には実印を押印する事になります。この印鑑が有効かどうかを確認する為に、印鑑証明が必要となります。

 

 遺産は現預金や土地建物等の資産以外にも葬儀費用や電気・ガス・水道代等の債務も入りますので、これら債務を財産から差し引いて、相続税の税額を算出する事になります。

4.税金が減るような特例などはないの?

 相続税の申告に関しても他の税目と同様、様々な特例があります。例えば「配偶者の税額軽減」があり、配偶者が受け取る遺産の額が1億6,000万円以下であれば、相続税がかからないというものや、「小規模宅地等の特例」といった、土地の評価額を減額出来るものもあります。

5.納税に関して

 申告をした際に納税が発生した時ですが、こちらは原則現金での一括納付となります。もし現金での一括納付が難しい時は、申告期限内に相続税を分割で納付するように税務署へ相談する事も可能です。分割納付でも難しい時は、不動産や有価証券などで納める「物納」という制度もあります。

6.相続人が揉めて申告期限に間に合わない・・・

 しかし遺産分割で相続人どうしがもめて、遺産を分割する事が出来ないまま、相続税の申告・納税期限が来てしまう事もあります。その時は相続税を無申告にするのではなく、いったん遺産を未分割のままで、申告・納税をする事になります。ただし、遺産が未分割のまま法定相続分で申告となりますので、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を使う事が出来なくなります。

 

 この申告をする時に、必ず一緒に「申告期限後3年以内の分割見込書」を作成し、提出しましょう。この「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に提出していれば、遺産分割が完了し、本来の申告が出来る状態(修正申告や更生の請求)になった時に、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を使う事が出来るようになり、納めすぎた税金があれば戻ってくる事になります。

 

 申告期限後3年も猶予があると思うかもしれませんが、実際に揉めて家庭裁判所での裁判まで行ったときは、判決が出るまで2年半くらいかかると思っていたほうがいいです。そう考えると、3年の猶予も長くはなく、むしろ短いとすら思えます。

7.まとめ

 相続税の申告に関しては我々も神経を使いますので大変ではありますが、残された遺族の方々は我々以上に心身ともに大変な状況となります。もともと仲が良かった家族が、いざ遺産分割となると揉めて仲たがいし、その後溝が出来て疎遠になってしまう事もあります。そうならないように、我々が遺族の皆様に寄り添ってサポートし、安心していただけるように、お手伝い出来ればと常に考えています。(文責:福岡事務所 堤)

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