Menu

Column

スタッフコラム

大阪事務所
2018.10.16|税制改正

働き方改革関連法案シリーズ1 時間外労働の上限規制と割増賃金率

平成30年6月29日に「働き方改革関連法」(正式名称はもっと長いのですが)が可決・成立しました。戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革になるそうです。

この改正の目的は「働く人が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするため」とされ、労働法の中でもメインとなる労働基準法をはじめ、労働安全衛生法、労働契約法、労働者派遣法、労働時間等設定改善法、パートタイム労働法、雇用対策法、じん肺法と8つの法律改正を伴う大きな改正となりました。

まずもっとも大きい改正項目からです。

1.時間外労働 罰則付きの上限規制

■そもそも法律的な時間外労働(残業)って?

 

そもそも会社で決められた「就業時間」があるかと思います。これは個々の会社で決めることができます。

朝9時から夕方5時までとか、朝9時から夕方6時までといったように会社によってバラバラです。

もちろん出勤曜日も違います。

これは会社で決められた「労働時間」になります。

 

しかし、時間外労働(残業)は労働基準法という法律さだめられた「法定労働時間」を基準に考えます。

「法定労働時間」とは、原則として「1日8時間・1週40時間以内」とされています。

この時間を超えて労働した時間が時間外労働、いわゆる残業ということになります。

 

しかし、労働者に残業をさせる場合には、使用者は労働者と労使協定を締結し、労働基準監督署へその協定を提出しなくてはなりません。

その労使協定が「36(サブロク)協定」です。

労働基準法第36条に定められているので、通称「36協定」と言われています(個人的にはこの条数が変わることはないのだろうか思ってますが・・・)。

もちろん休日労働をさせる場合も同じくこの協定に定める必要があります。

 

 

■時間外労働に罰則付きで上限が設けられた!

 

  原則  月45時間、年360時間

  (臨時的な特別の事情がない限り超えることは不可)

  施行:2019(平成31)年4月(中小企業は2020年4月)

 

これまで、法律上では36協定における残業時間の上限規制はなく、限度基準に基づいた行政指導のみとなっていました。

それが日本の労働時間規制の緩さとなって、過労死問題等が起こった原因とも言えるのではないかと思います。

 

この改正により法律で上記の上限時間を定め、それを超える残業はできなくなりました。

法律で定められたことにより強制ということになり、違反した場合は罰則となります。

 

36協定にはもう一つ、いわいる特別条項として限度時間を超えて働かせることができるとする条項を、使用者と労働者が合意したうえで設けることができます。

ただ、この場合も上限規制が定められました。

 

  • 年720時間以内
  • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
  • 月100時間未満(休日労働を含む)

 

また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までとなっています。

 

このように、罰則規定を定めることにより長時間労働による「働き過ぎ」を防ぎ、「ワーク・ライフ・バランス」を実現していくことが目的とされています。

 

 

 

 

2.時間外労働に対する割増賃金率 中小企業も引き上げに

■現在中小企業に適用されている猶予が廃止に!

 

本来時間外労働に対する割増賃金率は2割5分以上とされています。

しかし、1か月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合には、その超えた時間分については5割以上の割増率で支払う必要があります。

 

しかし、この制度はこれまで労働基準法第138条に規定する中小事業主(資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円,卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主)は猶予されていました。

ところが、今回「働き方改革関連法」の改正項目の一つとして、中小企業に対する猶予が廃止されることとなりました。

施行はまだちょっと先の2023年4月からではありますが、中小企業にとっては大きな改正項目となりますし、注意が必要です。

 

 

「働き方改革関連法」改正項目まだあるのですが、長くなりますので、また次回お話したいと思います。

税理士変更をお考えの方はこちら
メールマガジン
登録
お見積り
ご相談