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スタッフコラム

福岡事務所
2023.12.04|税制改正

OCR入力時注意!媒介者交付特例請求書

 "OCR機能の発展に伴い、「freeeのAIOCR機能」や「Streamed」を活用することで、経理処理は格段に効率化しています。両機能について、インボイス制度開始後においても、適格請求書発行事業者登録番号の有無を認識し、国税庁HPにて正しい番号かどうかの判定まで行ってくれ、会計事務所の記帳代行業務のみならず、各企業の経理業務の効率化にもつながってきています。
 しかし、委託販売における「媒介者交付特例」を活用した請求書では、両機能でも対応できないものが想定されます。 

1.委託販売における「媒介者交付特例」とは

 インボイス制度において、売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません。
 委託販売の場合においても、購入者に対して課税資産の譲渡等を行っているのは、委託者ですから、本来、委託者が購入者に対して適格請求書を交付しなければなりません。このような場合、受託者が委託者を代理して、委託者の氏名又は名称及び登録番号を記載した、委託者の適格請求書を、相手方に交付することも認められます(代理交付)。
※媒介者交付特例の詳細に関しては、インボイス制度に関するQ&A問48~49を参照

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-08.pdf

 媒介者交付特例を活用する事業者は①や②のような例が想定されます。

2.事業例①:ネット販売事業

 委託販売の事業例として一番最初に思いつくのは、「ネット販売事業」と思われます。委託者はサイト運営会社へ販売を委託し、適格請求書は購入者へサイト運営会社より代理発行されます。有名な「Amazon」や「楽天」では、一つの請求書に対して1委託者のみが記載されているため、OCR機能による記帳は従来と同様の処理が可能です。

 それでは複数の委託者が一つの請求書に記載される場合はどのような請求書になるのでしょうか。

3.事業例②:不動産賃貸管理業

 複数の事業者から委託を受ける場合についても媒介者交付特例の適用は可能です。また、委託者に適格請求書発行事業者とそれ以外の者が混在していたとしても、それぞれ区分することにより、適格請求書発行事業者に係るもののみを適格請求書とすることができます。

 例えば、不動産賃貸管理業における下記取引を想定します。
「A社、B社が仲介業者へ販売委託をし、仲介業者から賃借人へ請求書を発行」
・A社:オーナー(家賃や駐車場代、水道光熱費などを請求)
・B社:サポート業者(24時間サポート等)
・仲介業者(請求書の発行を行う側)
・賃借人(請求書の発行を受ける側)

当業種はさまざまな請求内容を一つの請求書にて発行する傾向にあります。
上記取引の場合、仲介業者から賃借人に発行される請求書は、A社、B社からの請求が混在した請求書となる。(画像参照)そして、A社、B社それぞれのインボイス登録状況によっては、適格請求書とそれ以外の事業者の請求書が混在した請求書が発行されることが想定されます。

 特に、一つの請求書内で適格請求書とそれ以外の事業者の請求書が混在している場合には、経理処理にあたり注意が必要となります。

 

請求書サンプル

4.経理処理上の注意とOCR機能の活用

 一つの請求書で適格請求書とそれ以外の事業者の請求書が混在する場合、それぞれの区分に応じた処理を行う必要があります。
「freeeのAIOCR機能」や「Streamed」でも、混在がある場合の区分ごとに分けての読み取りは現在の機能では対応できず、記載されている情報のうち、読み取れた情報のみしか反映しないとのことでした。(2023/12/01現在)
 上記より媒介交付者特例が適用された請求書のうち適格請求書とそれ以外の事業者の請求書が混在する場合には、OCRによる記帳を活用することができず、処理者の手入力を前提とした処理が必要となる点に注意しなければなりません。

 

(文責:福岡事務所 佐藤)

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