Menu

Column

スタッフコラム

京都事務所
2022.09.05|経営

課税売上割合に準ずる割合とは?

 消費税の計算を原則的な方法で計算する場合、課税売上割合が低いと仕入税額控除の金額が少なくなります。
 例えば自動車部品の製造業を営んでいた消費税の課税事業者が工場の閉鎖に伴いその用地を売却した場合、その事業年度の課税売上割合が急激に減少する恐れがあります。
 このまま消費税を計算すると、思わぬ納税を迫られるケースがあります。何か手立てはないでしょうか。
 今回は消費税の「課税売上割合に準ずる割合」について、ご紹介します。

1.消費税の納税額の計算

 消費税の計算を原則的な方法で行う場合、売上高などの収入に含まれる消費税額から、仕入高などの支出に含まれる消費税額を控除して計算します。
 ただし、必ず全額を控除できるわけではありません。消費税法では課税売上に対応する部分のみを控除できるという考え方があり、土地の譲渡や貸付などの非課税売上に対応する部分は控除できないことになっています。そこで、課税売上高が5億円を超える場合などの一定の場合には、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれかの方法で納付税額を計算することになっています。
 この2つの方法のうち個別対応方式では、支出に含まれる消費税を①「課税売上にのみ要するもの」、②「非課税売上にのみ要するもの」、③「共通して要するもの」の3つに区分した上で、①については全額控除できますが、②については全額控除できず、③については課税売上割合(後述)を乗じた金額のみ控除することができます。
 一方、一括比例配分方式では個別対応方式のように区分をせず、課税期間中のすべての支出に含まれる消費税額に課税売上割合を乗じた金額のみ控除することができます。

2.課税売上割合とは?

 課税売上割合とは、課税期間中の売上全体のうちに課税売上高の占める割合をいいます。

 簡単に申し上げますと、次の以下の通りです。

 【課税売上割合】
 課税売上割合 = 課税売上 /(課税売上 + 非課税売上)

 (※詳細は国税庁HPをご覧ください。

 国税庁HPより 課税売上割合の計算方法:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6405.htm)

 すなわち、非課税売上が増加すると課税売上割合が減少するため、控除できる金額が少なくなってしまいます。

3.課税売上割合に準ずる割合とは?

 上記の例のように、たまたま土地の譲渡があった場合には課税売上割合が低くなってしまい、事業実態を反映しているとは言えなくなります。
 そこで納税地の所轄税務署長に対して「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出し、適用を受けようとする課税期間の末日までに税務署長の承認を受けることができれば、その土地の譲渡がなかったとした場合の課税売上割合を適用することができます。
 具体的には、「前年以前3年間における通算課税売上割合」と、「前期の課税売上割合」のいずれか低い割合を、課税売上割合に準ずる割合として使用できます。
 ただし、以下の要件を全て満たす必要があります。
 ①土地の譲渡が単発の出来事であること。
 ②その土地の譲渡がなかった場合には、事業の実態に変動がないと認められること。(土地の譲渡の前後で課税事業者の営業の実態に変動がなく、かつ、過去3年間で最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合の差が5%以内であること)
 なお、翌期においては原則として「課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を提出しなければなりません。

4.まとめ

 いかがでしたか。
 なお令和3年の税制改正により、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を適用を受けようとする課税期間の末日までに提出し、かつ同日の翌日以後1か月を経過する日までに税務署長の承認を受けることができた場合には、当該課税期間の末日において承認があったものとみなされ、当該課税期間から課税売上割合に準ずる割合を適用できるようになりました。
 しかし、税務署長が1月以内に承認するとは限らないため、実際には余裕をもって提出する必要がありそうです。
当社でも相談に対応していますので、お気軽に活用頂ければ幸いです。(文責:京都事務所 島﨑)

税理士変更をお考えの方はこちら
メールマガジン
登録
お見積り
ご相談