1.そもそも事業所税とは?
事業所税は、指定都市等の一定の都市において、一定規模以上の事業所を使用している場合に課される地方税です。
都市環境整備の財源として設けられており、事務所、店舗、工場、倉庫などの事業所が対象となります。
なお、自社所有に限らず、賃借している事業所も対象となります。
事業所税には、資産割と従業者割があります。
・資産割
事業所の床面積を基準に課税されます。
課税標準となる床面積(非課税部分を除く)1㎡あたり600円
・従業者割
従業者給与総額を基準に課税されます。
課税標準となる従業者給与総額(非課税分を除く)×0.25%
また、事業所税には次の免税点があり、原則として、これらを超える場合に課税対象となります。
・資産割 :対象都市の事業所床面積の合計 1,000㎡
・従業者割:対象都市の事業所の従業者数の合計 100人
なお、法人は事業年度末日、個人は12月31日時点の現況で判定します。
2.「みなし共同事業」とは?
事業所税では、特殊関係者と同一家屋内で事業を行っている場合、
特殊関係者の事業を共同事業とみなす「みなし共同事業」という制度があります。
特殊関係者には、次のような者が含まれます。
・一定の親族その他特別な関係にある個人
・同族会社の主要株主とその関係者である個人
・同族会社である子会社
・同族会社である兄弟会社
例えば、法人の場合、親会社と子会社、または兄弟会社同士で同じ家屋を利用しているケースなどが、
みなし共同事業に該当する可能性があります。
なお、通常は、子会社からみた親会社は特殊関係者に該当しません。
3.「みなし共同事業」に該当すると、思わぬ課税対象になることも
みなし共同事業で特に注意が必要なのが、「免税点判定」です。
自社単独では事業所税の免税点を超えないと思っていても、みなし共同事業に該当する場合は
特殊関係者分を合算して免税点を判定する必要があります。
同一家屋内で事業を行う特殊関係者の事業所の床面積や従業者数を合算して免税点を超えると、
事業所税の申告が必要になる場合があります。
一方で、実際の税額計算は各法人ごとに行われます。
つまり、
・免税点判定
→ 特殊関係者分を合算
・税額計算
→ 各社単独で計算
という仕組みになっています。
4.【具体例】兄弟会社で同じ家屋を利用しているケース
ここでは、同じ親会社に支配されている兄弟会社(A社・B社)が同じ家屋を利用しているケースを見てみましょう。
会社 床面積 従業者数
A社 400㎡ 40人
B社 700㎡ 50人
A社単独では事業所税の免税点以下です。
また、B社単独でも事業所税の免税点以下です。
しかし、兄弟会社同士は互いを特殊関係者として扱うため、みなし共同事業に該当する場合には、
相手会社分も合算して免税点判定を行います。
合算して免税点判定を行うと、次のようになります。
・床面積 1,100㎡
・従業者数 90人
この場合、床面積は免税点(1,000㎡)を超えるため、A社・B社ともに資産割の課税対象となります。
一方で、従業者数は100人以下のため、従業者割は課税対象となりません。
なお、実際の税額計算は各社ごとに行うため、
・A社 → 400㎡を基礎に資産割を計算
・B社 → 700㎡を基礎に資産割を計算
することになります。
5.「同じ事業所=必ず該当」ではない
もっとも、同一家屋内で事業を行っている場合でも、必ずみなし共同事業に該当するわけではありません。
次のいずれの要件も満たす場合には、みなし共同事業の適用対象外となります。
① 特殊関係者と実質的に連携して行われている事業でないこと
② 事業所税の負担を不当に減少させる結果とならないこと
ただし、親子関係や兄弟関係にある同族会社では、「意思の疎通がない」と認められるケースは限定的だと考えられます。
6.明細書の添付も忘れずに
みなし共同事業に該当する場合には、通常の事業所税申告書に加えて、
「みなし共同事業に係る明細書」の添付が必要になります。
この明細書には、特殊関係者の名称のほか、みなし共同事業に係る自社および特殊関係者の事業所面積や従業者数などを記載します。
特殊関係者の情報も記載することになるため、みなし共同事業に係る事業所の床面積や従業者数の合計が免税点を
超える場合には、自社だけでなく特殊関係者についても、事業所税の申告要否を併せて検討する必要があります。
7.最後に
事業所税は、「自社単独では小規模だから関係ない」と考えられがちな税目です。
しかし、グループ会社で同一の家屋内に事業所を設けている場合などには、「みなし共同事業」によって
想定外に課税対象となることがあります。
特に、グループ会社間で増床や人員増加があった場合には、新たに課税対象となるケースがあるため注意が必要です。
以前確認したことがある場合でも、この機会に、他のグループ会社も含め、事業所の利用状況や資本関係について
改めて確認してみてはいかがでしょうか。
(文責 広島事務所 金久)
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