1.パスキーとは
これまでインターネット上の多くのサービスでは「パスワード」による認証が一般的でした。
しかし、「123456」「password」といった単純なパスワードの使用や、複数のサービスでの使い回しにより、情報漏洩のリスクが深刻な問題となっています。
そこで近年注目されているのが「パスキー(Passkey)」という次世代の認証方式です。
これは、パスワードの代わりに指紋認証や顔認証などの生体認証、またはPINコードを用いてより安全かつ簡単にログインできる仕組みです。
お手元のスマートフォン端末などでも既にお使いの方も多いのではないでしょうか。(指紋認証やFaceIDなど)
大手IT企業がこの技術を積極的に導入しており、今後急速な普及が見込まれています。
なお、GoogleもGmail利用ユーザーにパスワードからパスキーへの変更を強く推奨しています。
2.パスキーの仕組みと3つの大きなメリット
パスキーは暗号化技術を基盤とした認証方式で、従来のパスワード方式と比べて以下の優れた特徴があります。
・セキュリティの大幅な向上
フィッシングやパスワードリスト攻撃といった従来の脅威に対して強固です。
パスワードのように「盗まれる」情報が存在しないため、データ漏洩の際も安全性が保たれます。
・利便性の向上
長く複雑なパスワードを記憶する必要がなくなり、指紋や顔認証での簡単な操作でログインが完了します。
パスワードを忘れてアカウントロックされる心配もありません。
・使い回しリスクの解消
各サービスで独自のパスキーが生成されるため、一つのサービスが侵害されても他のサービスへの影響はありません。
3.導入時の注意点と対策
パスキーは非常に優れた技術ですが、導入に際していくつかの注意点があります。
・端末依存性への対策
パスキーは基本的にデバイスに保存されるため、端末の紛失や故障時のリスクを考慮する必要があります。
対策として、パスキーを複数の端末に同期させる、クラウドバックアップ機能を活用するなど、復旧手段を事前に準備しておくことが重要です。
・移行期間の併用管理
現在はパスキー対応サービスが限定的なため、当面は従来のパスワード認証との併用が必要です。
・正しい理解と教育
新しい技術の利便性に頼るだけでなく、その仕組みや特性を理解し、適切に活用することが不可欠です。
4.より安全な運用のためのベストプラクティス
パスキーは従来の認証方式と比べて格段に安全ですが、万能ではありません。より安心・安全な環境を構築するために、以下の点にご注意ください。
・端末セキュリティの強化
端末自体への攻撃(マルウェア感染や不正操作)対策として、画面ロックの設定、OSのセキュリティアップデート、信頼できないアプリケーションのインストール回避などが、これまで以上に重要になります。
・クラウド同期の適切な管理
パスキーをクラウドサービスに同期する場合は、そのサービスのセキュリティ設定や管理にも十分注意を払う必要があります。
・多層防御の考え方
可能な場合は二段階認証との併用を検討し、「何かあった時の備え」という多層防御の観点を持つことが大切です。
5.まとめ
セキュリティは技術と運用の両輪があって初めて成り立ちます。
パスキーという優れた新技術を過信することなく、その特性や注意点を十分理解し、段階的に導入することで、
より安心・安全なデジタル環境の実現が可能となります。
変化の激しいデジタル社会において、新しい技術を正しく理解し、適切に活用して安心安全で快適なデジタルライフを過ごされてはいかがでしょうか。
(文責:京都事務所 坂本)
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