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スタッフコラム

京都事務所
2021.05.10|お知らせ

京都市で「新税」?「別荘税」?

 「新税~~?!」第1期の固定資産税の納付を終えられ、これから自動車税の納付も控えているのに、これ以上まだ税金払うの?!と思われた方も多いのではないでしょうか。この税金については、まだ答申段階の検討事項であり、導入時期も未定ではありますが、本気で導入を検討しなければならない様々な事情が京都市にはあるようです。                                                         いち京都市民として、また税に携わるものとして、その事情について記載したいと思います。

1.別荘・空き家税の概要

それでは、導入が検討されている新税「別荘・空き家税」とはどんな税なのか。概要について調べてみました。                                                    まず課税される対象は、別荘や空き家など、所有しながら生活をしていない「非居住住宅」であること。また、京都市が独自に課税する法定外普通税となります。そして、皆さんが一番知りたい税額の算出方法については、3パターンで検討が進められているようです。                                                                                                   ①家屋の床面積1平方メートルあたりに一定額 ②資産価値を示す額に一定率 ③固定資産税評価額を階層に分けて累進税率      これによる税収は、8億~20億と試算されています。                                                                                                                                  例えば、中京区の「田の字地区」にある分譲マンションの別荘(床面積100平方メートル約30坪)が6万5千~43万円。嵐山の戸建て別荘(同300平方メートル約90坪)の場合には、12万~43万円といった具合です。                                                                                                                                             ここまで読み進んでいただいたくと、別荘や空き家を所有していなければ関係ないんじゃないの?というお声が聞こえてきそうです。                                                                                                                   確かにそうなのですが、私が知っていただきたいのはここからです。何故この「新税」が検討されなければならなかったのか。

2.京都市、7年後に破産?

そもそもこの答申は、京都市の新たな財源を検討する有識者委員会が門川市長に提案したものです。                      きょうと市民しんぶんに、「京都市のお金の事情」というショッキングな記事が連載されているのをご存じでしょうか。                そこには「最悪の場合、7年後には財政再生団体に」と記載されています。要するに、最悪の場合には7年後に京都市は破産し、国主導で再建の道を探るということです。                                                                               バブル期に重なった市営地下鉄東西線の建設等大規模な公共事業で財政状況が悪化し、財源不足を穴埋めするため、将来の借金返済のために積み立てた基金を毎年度取り崩してなんとか財政を維持していますが、それが5年後には底を付き、7年後には国が定める財政再生団体に転落してしまうという状況なのです。                                                               企業であれば、自転車操業どころか、金融機関から融資を受けるのも難しい状況です。それに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルス感染症です。コロナ禍以前の令和元年はインバウンド効果による宿泊税等の税収もあり、歳入は過去最高となりましたが、インバウンド効果による歳入がなくなり、コロナによる補助金等で歳出が増加しました。今後毎年度500億円もの財源不足が見込まれています。                                                                                               ちなみにインバウンド効果による税収は令和元年、2年ともに42億円でした。たとえインバウンドが戻ったとしても、スズメの涙とは言いませんが、少しの税収にしかなりません。待ったなしの対策が必要なのです。

3.それだけではない理由。何故「別荘・空き家税?」

先程述べましたように、この新税が検討されている理由の9割は京都市の財政事情によるものと思われます。ただ同時に問題視されているのが子育て世代の社外流出です。                                                              京都市が公表している高齢化比率というものがあります。平成27年以降国勢調査が行われていないため、京都市が独自に算出したデータになりますが、令和2年は28.2%、平成27年は26.7%、10年前の平成22年は23%。そもそもの出生率自体が下がっているとはいえ、10年前と比較すると高齢化比率が5%も上昇していることになります。                                                      首都圏や海外の富裕層がセカンドハウスとして京都市内のマンション等を購入することで、価格が高止まりし、子育て世代が住まいを確保できずに市外に流出しているという問題です。                                                                                                                                                                    しかしそれなら、「別荘税」で良いのでは?何故空き家も問題になっているのでしょう。                               色々調べていると、別荘のみに課税するとなると、別荘と空き家を区分する必要があり、それを区分する事務負担とコストを考慮し、両方対象にしてしまおうと考えられているのではということでした。あくまでネット情報であるため確証はありませんが、一理あります。                                                                                                    所有者不明の土地のうち66%は登記の不備によるものです。今年4月に「不明土地関連法案」が成立し、土地・建物を相続した後の登記が義務付けられました。正当な理由がなく登記を怠った場合には、過料(罰金)が課されますのでご注意下さい。

4.熱海市の別荘等所有税(法定外普通税)について

最後に、「別荘・空き家税」は京都市で初めて誕生するのでしょうか。                                                                           実は先駆者がいます。なんと、熱海市で昭和51年から総務大臣の同意を得て「別荘等所有税」が課税されています。                                ご参考までに、簡単に熱海市の別荘等所有税について記載します。                                           <課税期日>固定資産税と同じく毎年1月1日現在の所有者に課税。                                          <納税義務者>1月1日現在、本市に家屋を所有しており、かつ、住民登録・市県民税の申告のない所有者等。                 <税額算出方法>所有している家屋の床の延べ面積1平方メートルにつき650円の割合で課税。                         マンションの共有部分も課税対象とのことです。興味をお持ちの方は、熱海市のHPをご確認下さい。https://www.city.atami.lg.jp/kurashi/zeikin/1000769/index.html(文責:京都事務所 清野)

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