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2021.07.17|会計

今さら聞けない「資本金」とは?資本金からわかる情報についてご紹介

企業情報を調べると目にする機会が多いのが、資本金です。資本金=企業規模という認識を持っていても、詳しいことまではわからないという方が多いのではないでしょうか。資本金について正しい認識を持つことで、企業規模だけではなく、さまざまな角度から企業を知ることが可能です。今回は資本金の基本情報についてご紹介します。

1.そもそも資本金とは?

資本金とは、会社設立時や増資によって株主から集められたお金のことです。資本金は返済義務がない資金であり、上場・非上場問わずすべての企業で公開されている情報です。資本金は会社法で以下の通りに定義されています。

会社法 445(1)

株式会社の資本の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。

(※1)e-GOV 法令検索『平成十七年法律第八十六号 会社法』https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086

 

以前は会社設立時の最低資本金額が設けられており、株式会社設立の場合は1,000万円、有限会社設立の場合は300万円の資本金が必要でした。しかし、新会社法の施行によって最低資本金額制度が撤廃になったため、現在では資本金額を自由に設定することが可能です。

2.資本金の情報からわかること

企業の資本金額は自由に決めることができますが、会社設立時に設定した資本金額を変更する際は増資・減資の手続きを行う必要があります。また、資本金は設立時の自己資本であるため、現在の業績とはあまり関係がないものです。

 

これだけ聞くと「資本金は少額でも問題ないのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、資本金が少ないとそれなりにデメリットが生じることも。例えば、金融機関から融資を検討したとします。多くの金融機関は、資本金の2倍までといったような上限を設けているため、資本金が少ないと融資自体が受けられなかったり、少額融資になってしまったりするリスクがあるのです。

3.資本金が多いと何が良いの?

前項でお伝えした通り、資本金は株主からの出資であり、「その企業への期待」が込められているのです。ここでは、資本金が多いことによって生じるメリットについてご紹介します。

 

社会から信用される

資本金が多いということは、それだけ株主から信用されているということです。会社の資金調達能力が高く、それだけ支払い能力も高いとみなされます。取引先のみならず、金融機関からも高い信用を得ることで、安定した取引の継続や融資を受けやすくなるでしょう。

 

事業の拡大が容易になる

自社の事業が安定化すると、事業の拡大を検討する方も多いでしょう。資本金が多いと、事業の運転資金として使える額も大きくなるため、事業の拡大をスムーズに行うことが可能です。

4.資本金を増額する際の注意点

企業が資本金を増やす方法の一つに、新たな株式を発行することが挙げられます。増資を行うことで、財務体質を強化できるほか、金融機関の評価指標の一つである「信用力」の向上が期待できるのです。しかし、資本金を増額する際にはいくつかデメリットが生じることも。資本金を増額する際の注意点についてご紹介します。

 

税負担が増加する

法人税のうち均等割として納税している金額は、従業員数と資本金額によって変動するもの。資本金額が大きくなるほど、税負担が増えるため、増資後の税負担について事前に確認しておくと良いでしょう。

 

増資の手続きが複雑

資本金の増資を行う場合、新規株式の募集要項を株主総会で決定後、自社の登記事項を法務局で変更する必要があります。登記事項の内容を変更する際は、法務局に対して「登録免許税」と呼ばれる手数料の支払いが求められるのです。手数料は増資した金額によって変わり、増資した金額が429万円以内の場合は3万円、それ以上の場合は「増加した資本金の額に0.7%を乗じた金額」となっています。(※2)増資を行うことで生じるメリットがコストと見合うかどうか検討しましょう。

(※2)国税庁『No.7191 登録免許税の税額表』https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

5.資本金額は投資家からの期待値を知る指標となる

今回は企業の資本金の基本情報についてご紹介しました。資本金は過去に株主から出資を受けた額の合計金額であるため、企業の業績とは切り離されて金額が固定されるものです。資本金についてしっかりと理解することで、その企業が株主からどれだけ期待されているのかを知ることができます。これを機に自社の資本金額が事業規模に見合っているかどうか今一度確認されてみるのはいかがでしょうか。

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