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スタッフコラム

広島事務所
2023.11.20|会計

免税事業者に支払う報酬・料金等の源泉徴収対象金額に注意を!

 令和5年10月1日より開始したインボイス制度。
 制度開始から6年間は、免税事業者(インボイス発行事業者以外)からの課税仕入れは経過措置の適用により一定割合(※)が仕入税額控除の対象となります。

 免税事業者に対して支払う報酬等について、源泉徴収の対象となる金額が、一部のシステムによっては間違って認識しているケースもあるようですので注意が必要です。

※ 令和5年10月1日から令和8年9月30日までは80%
  令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%

1.源泉徴収の対象となる金額

 デザイン料や士業への報酬など一定の報酬・料金等については、原則として消費税額等を含めた金額(税込金額)が源泉徴収の対象金額とすることとされています。ただし、支払を受ける者からの請求書等において、報酬・料金等の額と消費税額等が明確に区分されている場合には、報酬・料金等の額(税抜金額)を源泉徴収の対象とすることが認められています。

 

【国税庁(法令解釈通達)~消費税法等の施行に伴う源泉所得税の取扱いについて】

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/890130/01.htm

2.免税事業者に支払う報酬・料金等について

 インボイス制度開始後は、免税事業者に支払う報酬・料金等における仕入税額控除が経過措置により一定割合に制限されます。
 仮に税抜経理方式を採用している場合、経過措置により仕入税額控除の対象とならなかった部分は、報酬・料金等の本体価格に含めて法人税の課税所得金額の計算を行うことになっています。(消費税新経理通達14の2)

3.免税事業者に支払う報酬・料金等の源泉徴収の対象額

 インボイス制度開始後において、免税事業者(インボイス発行事業者以外)が発行する請求書や納品書等は必ずしも適格請求書(インボイス)の要件を満たす必要はありません。
 免税事業者(インボイス発行事業者以外)が発行する請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。

 

【国税庁(法令解釈通達)~インボイス制度開始後の報酬・料金等に対する源泉徴収】

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/111209/01.htm

 

 例1:A社(税抜経理方式)が免税事業者であるH氏から、報酬料金330,000円を請求され、源泉所得税を差し引いて支払った場合

   支払報酬料  306,000円 / 現預金     296,307円
   仮払消費税等  24,000円 / 預り源泉所得税  33,693円

 例2:A社(税抜経理方式)が免税事業者であるH氏から、報酬料金300,000円と消費税額30,000円を請求され、源泉所得税を差し引いて支払った場合

   支払報酬料  306,000円 / 現預金     299,370円
   仮払消費税等  24,000円 / 預り源泉所得税  30,630円

 仕訳を計上する際には、支払報酬料306,000円(税抜)となりますが、源泉徴収の対象額は請求書等によって異なる点に注意が必要です。

4.まとめ

 インボイス制度に関して細かい疑問点が多くなり、システムに頼ることも増えてくると思いますが制度を理解することも大切です。

(文貢 広島事務所 大谷)

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