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押さえておきたい 社会福祉法人制度改革の概要と実務上の準備

2017.12.21 税制改正

社会福祉法人制度を大きく改革する法案が平成27年4月3日に閣議決定後、国会に提出されました。制度改革による改正点の概要と実務上の準備について触れてみたいと思います。

制度改革の概要について 

今回の制度改正によって、社会福祉法人においても、今まで以上に 

  • 高い公益性・非営利性の徹底 
  • 国民に対する説明責任及び地域社会への貢献 

が求められることになります。これらを充実させるため、以下のような措置・見直しがなされました。 

経営組織におけるガバナンスの強化

これまで、「評議員会」は任意設置の機関でした。今回の法改正から「評議員会」は必ず設置しないといけない「必置の議決機関」となりました。したがって、「評議員会」を持たない社会福祉法人では、評議員の選定や、定款の変更など、必要な業務が発生することになります。 

事業運営の透明性の向上 

改正法では、社会福祉法人の事業運営について、さらなる透明性を向上させるために、情報公開の対象範囲の拡大とルールの明確化が図られました。備置き・閲覧請求可能書類の増加、閲覧請求権者の範囲が拡大されています。 

財務規律の強化 『理事、監事及び評議員に対する報酬等支給基準の作成、公表』 

改正法では、社会福祉法人の理事・監事・評議員らに対する報酬が不当に高額なものとならないよう支給基準を定めることとなりました。一般企業の役員報酬や従業員給与と比較して、かけ離れたものにならないよう注意する必要があります。 

財務規律の強化 『社会福祉充実残高の明確化』 

改正法においては、平成29年4月1日以降、法人は、毎会計年度、貸借対照表の資産の部に計上した額から負債の部に計上した額を控除して得た額が事業継続に必要な財産額を上回るかどうかを算定しなければならないこととされました。さらに、これを上回る財産額(「社会福祉充実残額」という。)がある場合には、社会福祉充実残額を財源として、既存の社会福祉事業若しくは公益事業の充実又は新規事業の実施に関する計画を策定し、これに基づく事業を実施しなければならなくなりました。  

地域における公益的な取組を実施する責務 

改正法では、社会福祉事業及び公益事業を行うに当たり、無料又は低額な料金で福祉サービスを提供することが責務として規定されました。(努力義務規定) 

行政の関与と在り方 

行政の指導監督機能も強化されました。 

  • 立ち入り検査等に関する規定が一部新たに設けられた 
  • 勧告・公表の規定、 
  • 所轄庁の知事への協力依頼や知事等の所轄庁に対する意見等行政の連携 

についての規定が新たに追加されました。 

実務上の準備について 

改正に伴い、既存の社会福祉法人が行わなくてはならない準備作業としては次のようなものが考えらえます。 

定款の変更

全ての社会福祉法人が、平成29年4月1日までに、必要な定款の変更をし、所轄庁の認可を受けなければなりません。(改正法附則第7条) 

定款変更に必要な社会福祉法人定款例(これまでの定款準則にあたるもの)が、平成28年11月に国から示されましたので、速やかに定款変更の正式な手続きを進める必要があります。

社会福祉法人定款例 (厚生労働省HP)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142657.html

評議員の選任

定款変更後、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから、定款に定めた方法により、新たに評議員を選任する必要があります。(改正法第39条、附則第9条第1項) また、評議員の権限がこれまでより強化されることから、その人選には慎重に当たる必要があります。

新役員候補の選定

改正法施行の際現に在任する役員(理事及び監事)の任期は、平成29年4月1日以降最初に召集される定時評議員会の終結の時までとなります。(改正法附則第14条)

このため、この定時評議員会において新役員の選任が決議できるよう、新役員候補の選定準備を進めておく必要があります。

会計監査人候補の選定

一定の事業規模以上で会計監査人を置かなければならない法人は、評議員会の決議を得て会計監査人を選定する必要があります。(改正法第37条)

会計監査人を置かなければならないのは、最終会計年度における収益が30億円又は負債が60億円を超える法人とされています。(改正政令第13条)

このため、該当する社会福祉法人は、平成29年4月1日以降の最初の定時評議員会までに候補となる公認会計士又は監査法人を選定しておかなければなりません。

社会福祉充実計画の策定準備

社会福祉充実計画は、現況報告等の届出と同時に所轄庁に提出し、その承認を受けなければなりません。(改正法第55条の2)このため、社会福祉充実残高が見込まれる社会福祉法人は、計画策定の準備を進めておく必要があります。

まとめ

実務的な準備作業を適切に進めていくためには制度改革全体を正確に理解した上で各法人で対応が必要な内容を精査し、対応漏れのないよう準備を進めていく必要があります。

上記のような準備作業は一例であり、やらなくてはならないことは多岐にわたります。

制度改革にともなう準備でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

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