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2020.09.30|経営 節税

「脱はんこ文化」実現へ。電子契約によって印紙税不要ってホント?

新型コロナ問題、安倍政権から菅新政権へというトピックスの中で、「脱はんこ」「デジタル化」というキーワードが非常に注目されています。新たに行政改革担当相に就任した河野氏も「脱はんこ」を強調する発言を繰り返しています。


「無駄な作業は省く」
「無駄な出費は削る」

中小企業にとって、これらの意識はより一層強くなったのではないでしょうか。
その中でも、契約書等を中電子化することによるメリットは非常に大きいと考えられますし、近頃顧問先の皆様からの問い合わせも増えてきています。もちろん、業務効率化目線でも契約書の電子化は効果が大きいのですが、紙の契約書には必要であった印紙税がかからない、という目線で実質的なコストダウンを図ることもできます。

1.印紙税の根拠条文

そもそも契約書に印紙税がかかる仕組みはどのような根拠があるのでしょうか?
印紙税に関する課税の仕組みについては、「印紙税法」によって定められており、詳細な内容について「印紙税法基本通達」に下記のような規定があります。

 

<印紙税法>
第二条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する

第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。

<印紙税法基本通達>
第2条 法に規定する「課税文書」とは、課税物件表の課税物件欄に掲げる文書により証されるべき事項(以下「課税事項」という。)が記載され、かつ、当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書のうち、法第5条《非課税文書》の規定により印紙税を課さないこととされる文書以外の文書をいう。

【参考:国税庁HP】

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/inshi/inshi01/02.htm

 

つまり、第1号から第20号まで定められている「課税文書」については、種類ごとや文書に記載されている金額に応じて印紙税がかかり、「非課税文書」として規定されている内容には印紙税がかからないという内容になります。
「課税文書」の代表例としては、契約書や領収書等があり、通常の商取引の中でも存在する内容が多いものかと思われます。

2.電子契約の場合、印紙不要となる根拠は?

前述の通り、印紙税は「課税文書」の種類、文書に記載する金額によって税額が定められています。

 

【参考:国税庁HP】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm

 

例えば、請負契約で3億円のマンションを建設する場合、20万円の印紙が必要となり、不動産取引を多く扱う会社にとっては相当のコスト負担になっています。

ここで、紙+押印の契約書から、電子契約に移行することで、印紙税の節約が可能となります。

では、電子契約であればなぜ印紙税がかからないのか?という点について、実は規定には、「電子契約のものが非課税ですよ」という明確な記載はないのです。
ここで、ポイントとなるのは、課税文書の「作成」についてフォーカスする点であり、
下記通達を読み解くと、紙ベースの契約書に記載し、交付することが「作成」と定義されています。
つまり、紙を用いない電子データに基づいた電子契約は課税文書の「作成」と判断されず、印紙税がかからないという仕組みです。

 

<印紙税法基本通達>
第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

 

国税庁が問い合わせに回答した事例を掲載したHPでも、上記の通達に触れており、電子契約であれば印紙税がかからないことを明示しています。

【参考:国税庁HP】

https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/01.htm

https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/02.htm#a01

3.電子契約の流れと注意点

そもそも電子契約とはどのようなオペレーションなのか、中々イメージのし辛い部分があるかと思いますが、基本的な電子契約の流れは以下の通りとなります。

 

  • 電子データとして契約書を作成

 

  • 作成した契約書に電子署名及びタイムスタンプを付与

 

  • PDF等のデータで相手方にメール等で送信

 

  • 相手方において内容確認、電子署名及びタイムスタンプを付与

 

  • PDF等のデータでメール等で返信

 

  • 契約完了

 

 

他方注意すべき点として、契約の内容によっては電子契約が認められていないものもあります。
趣旨としては、弱者保護や紛争防止の側面を理由にして紙での契約書の作成を求められているとのことで、留意頂く必要がございます。

 

【電子契約ができない契約の一例】

  • 定期借地・定期建物賃貸借契約

<借地借家法>
第二十二条 存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。

 

  • 宅地建物売買等契約締結前の重要事項説明・締結後の契約内容説明

<宅建業法>
第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない

第三十七条 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
3 宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印させなければならない。

4.ひかり税理士法人では

実は、弊社でもこの度、顧問先の皆様との税務顧問契約を電子契約に移行しています。
今回は電子契約による「印紙税節約」のメリットについてご説明しましたが、他にも、

 

  • 対面で契約を交わす必要がない

 

  • ハンコが要らない

 

  • 郵送/返送、製本作業、契約書のファイリングが要らない

 

このような業務効率化目線でのコスト削減も期待できます。
はんこ押印の為だけに出社する、上司決済はんこ押印が進まないから営業の進捗が良くない。こんなナンセンスな状況は打破するべきと強く思っています。
電子契約導入へのコストはもちろんありますが、それ以上の効果が期待できるのではと考えられます。
電子契約を検討されている会社様は是非この機会にご検討下さい。

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