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2021.10.25|経営

【令和3年度最新版】電子帳簿保存法とは?改正による変更点も解説

電子帳簿保存法は1998年に施行され、その後も数回にわたる改正を経て現代のデジタル社会に適した内容に修正されています。令和3年度の改正においては抜本的な見直しが実施され、書類を電子保存して活用しやすい環境が整いました。

実際には、どのように書類を保存すればいいのでしょうか。この記事では、電子帳簿保存法の概要とともに、具体的な保存方法を解説します。

1.電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類について電子データでの保存を認める法律です。従来は紙の書類で保存する必要がありましたが、電子帳簿保存法により電子データ化して保存しても帳簿の備付けとして認められるようになりました。電子帳簿保存法に則って書類を電子データ化すると、大量の紙の書類を保管するスペースを確保する必要はありません。

 

紙の書類の場合、作成してから7年間の保存義務があります。電子データで書類を保管する場合も、基本的には7年間保存し続ける必要があります。

 

なお、書類を電子データ化するには、以前までは税務署から承認を受ける必要がありました。しかし、令和3年度の改正によって、令和4年1月1日以降に作成する書類については税務署の承認を得ずに電子データ化できるようになっています。

2.認められている保存方法

電子帳簿保存法では、具体的にどのような書類の保存方法が認められているのでしょうか。以下でくわしく解説します。

 

電磁的記録による保存

電子帳簿保存法では、電子的記録による帳簿や書類の保存が認められています。具体的には、パソコンなどの電子計算機でデータを作成し、ハードディスクやDVDなどの記録媒体で保存する方法です。クラウドサービスを利用し、クラウド上のサーバーでデータを保管する方法を活用しても構いません。

 

帳簿と書類のどちらであっても、一定の要件を満たしている会計ソフトなどで作成する必要があります。要件を満たしていれば、帳簿なら仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳など、書類なら貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書などを電磁的記録として保存できます。

 

一定の要件を満たす会計ソフトとは?

一定の要件を満たしている会計ソフトとは、以下の要件を満たしている会計ソフトのことです。

 

 

帳簿

書類

電磁的記録の訂正・削除・追加の事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムの使用

 

帳簿間での記録事項の相互関連性の確保

 

電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け

見読可能装置の備付け等

検索機能の確保

 

帳簿と書類では、それぞれ満たすべき要件に違いがあるため注意が必要です。

 

スキャナによる保存

電子帳簿保存法では、スキャナ保存が認められている書類もあります。スキャナ保存ができるのは、自社で紙の書類として出力したものや、取引先などから紙の書類で受領したものなどです。

 

会社の資金や物の流れに直接関わる重要書類としては、契約書、納品書、請求書、領収書などのスキャナ保存が認められています。会社の資金や物の流れに直接関わらない一般書類でスキャナ保存が可能なのは、見積書、注文書、検収書などです。

 

スキャナ保存は紙の書類を読み取って電子データ化したうえで保管するため、電子帳簿保存法の対象となっています。なお、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した書類のデータも有効な保存方法として認められています。

 

ただし、スキャナ保存をする場合は、改ざんを防ぐためにタイムスタンプの付与が必須です。

 

タイムスタンプとは?

タイムスタンプとは、ある時点で電子データが存在しており、その後に改ざんされていないという事実を証明するための技術です。タイムスタンプの情報と電子データの情報を比較すると、書類に何らかの変更が加えられていないかチェックできます。

 

書類を電子データ化すると改ざんを見抜きにくくなりますが、タイムスタンプを使用すれば簡単に改ざんを防止できます。

 

3.電子帳簿保存法の対象にならない書類

手書きで作成した帳簿は、基本的に電子帳簿保存法の対象にはなりません。電子帳簿保存法の対象として認められるためには、一貫して電子データで書類を作成する必要があります。たとえば、パソコンで作成した帳簿を一度出力し、手書きで加筆してスキャナ保存する場合は電子帳簿保存法の対象になりません。

 

ただし、書類の場合、手書きしたものをスキャナで電子データ化すれば、電子帳簿保存法の対象として認められます。

 

4.令和3年度の改正で変わったこと

電子帳簿保存法は、令和3年度の改正によりさまざまな点が改善されました。ここでは、具体的に何が変わったのか解説します。

 

税務署の承認制度が廃止された

改正前は、電子データ化を開始する3カ月前までに税務署へ届け出る必要がありました。しかし、改正後は、要件を満たせば税務署の承認を受けなくても電子データ化を始められるようになっています。事前に必要な作業が減ったため、時間や手間をかけずに電子帳簿保存法へ対応する準備を整えられるようになりました。

 

適正事務処理要件が廃止された

改正前は適正事務処理要件が定められており、スキャナ保存する場合は確認のために紙の原本も保存する必要がありました。また、2名以上でのチェックも必須とされていました。

 

しかし、改正後は適正事務処理要件が廃止され、スキャンした紙の原本はすぐに破棄できるようになっています。

 

タイムスタンプの要件が緩和された

もともとタイムスタンプの付与期間は受領後3日以内とされていました。しかし、改正により、タイムスタンプの付与期間は最長で約2カ月以内とされています。期間が長くなった分、担当者もさらに余裕をもって対応できるようになっています。

 

検索要件が緩和された

電子データを保存するうえでは、データをスムーズに探し出すための検索機能を備える必要があります。改正前は、細かい検索ができる機能が必要とされていました。しかし、改正後は検索機能に対する要件が簡素化されています。そのため、電子帳簿保存法への対応がしやすくなりました。

また電子取引に関しても、基準期間(注)の売上高が 1,000 万円以下である方(小規模な事業者)について、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の全てが不要とされました。

適正な保存を担保する措置

申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録についてその電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置は、廃止されました。

 

詳しくは国税庁の案内をご確認ください。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf

 

5.【まとめ】

電子帳簿保存法の改正により、従来と比較しても書類を電子データ化して活用しやすい状況になっています。書類を電子データ化すれば保管スペースも少なく済み、管理にも手間がかからなくなります。

 

書類を電子保存するためには一定の要件を満たす必要があるため、認められている保存方法をよく確認したうえで対応を進めましょう。

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