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2022.03.28|税の最新情報

春は注意!交通反則金等の取り扱い

毎年春には「春の全国交通安全運動」が実施されます。
全国の警察署では毎年多くの有名タレントが一日警察署長として交通安全についてPRされていますね。
今年の期間は4月6日から15日までの10日間だそうです。

さて、この期間については当然取り締まりも強化されることとなりますが、業務において日常的に車を使うような場合、業務中の違反による交通反則金を法人で負担しているという会社も多いのではないでしょうか。あるいは従業員が業務中に交通事故を起こしてしまい、損害賠償金を支払わなければならなくなったような場合に、それを法人が負担するようなこともあるかも知れません。
今回は、法人が負担した交通反則金などの取り扱いについてまとめさせていただきます。

1.交通反則金

法人が負担した交通反則金については、「業務中」か「業務外」か、また、「役員」か「使用人(一般の従業員)」かによって取り扱いが異なります。

 

≪業務中の違反による場合≫
違反者が役員・使用人にかかわらず、法人が負担した交通反則金の全額が損金不算入となります(経費とならない)。

 

≪業務外の違反による場合≫
法人が負担した交通反則金は、その違反者に対する臨時的な給与として取扱われることとなります。違反者が使用人であれば、給与手当として損金に算入されますが、違反者が役員であれば「役員賞与」として損金不算入となります。なお「給与としての取り扱い」であるため、負担した交通反則金は源泉徴収の対象となるので注意が必要です。

2.レッカー移動費用、保管費用等

駐車違反によりレッカー移動をされた際の、レッカー移動費用や保管費用等については、損金不算入となる罰科金等に含まれておらず、業務中の違反によるこれらの費用を法人が負担した場合には、法人の経費として損金に算入されることとなります。

3.交通事故の損害賠償金

役員や使用人が起こしてしまった交通事故による損害賠償金を法人が負担した場合には、「業務中」か「業務外」か、また、「故意または重過失に基づく」か「基づかない」かによって取り扱いが異なります。

 

≪業務中の事故で、故意または重過失に基づかない場合≫
法人が負担した損害賠償金は、法人の経費として損金の額に算入されます。なお、この場合は前述の交通反則金とは異なり、給与としての扱いとはならず、役員に対するものでも損金になり、源泉徴収の対象にもなりません。

 

≪業務外の事故や、故意または重過失に基づく場合≫
法人が負担した損害賠償金は、その事故を起こした役員または使用人に対する「債権(貸し付け)」となります。
債権である限りは、当然返済してもらう必要があるのですが、その役員または使用人の支払能力等からみて、求償できない事情にあるような場合には、その債権のうち回収できない金額を「貸し倒れ」として処理し、損金に算入することとなります。
回収が可能であるにも関わらず貸し倒れ処理した場合には、その部分はその役員または使用人に対する臨時的な給与として取り扱われます。こちらについても前述の交通反則金の場合と同様に、使用人に対するものは損金となりますが、役員に対するものは損金となりません。また源泉徴収の対象にもなります。

4.まとめ

経営者の立場からすると、事業として日常的に車を使っている以上、交通反則金についても経費として認めてほしいとのお気持ちもあるかも知れませんが、上記の通り、交通反則金は基本的に会社の経費にはなりませんので、やはり日頃から違反や事故のないよう安全運転を心がけたいですね。

 

余談ですが、一日警察署長といっても、決して署長としての権限が付与されるわけではなく、イベント当日においても、通常の署長業務については本来の署長が行います。昨年は、人命救助で表彰されたというネコも一日警察署長を務めたとか。

 

(文責:京都事務所 坂本)

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