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2021.10.25|税の最新情報

インボイス制度とは?課税事業者と免税事業者がやるべきこと

2023年10月1日より「適格請求書等保存方式」、いわゆる「インボイス制度」が導入されます。制度が変わったり、新しい制度が導入されたりすると、実際に取引を行う事業者にとっては日々の業務に影響が出るため、早めに把握しておきたいところでしょう。

そこでこの記事では、インボイス制度の導入にあたり、売り手側および買い手側にどのような影響があるのか詳しく解説します。制度を理解し、必要な対応が取れるように準備しておいてください。

1.インボイスとは?

インボイスは売り手から買い手に対して、適用税率や消費税額等を正確に伝えるために交付される書面です。具体的には請求書や納品書、レシートなどが該当し、特に書面の名称は問いません。内容には以下に挙げる項目を含めて記載する必要があります。

 

  • 適格請求書発行事業者の氏名又は名称
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 

ここまでは2021年時点の現行の制度でも「区分記載請求書」に記載されている項目です。2023年から開始するインボイス制度では、以下の3つが新たに記載される項目として加えられます。

 

  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 登録番号
  • 適用税率

2.インボイス制度とは?

一定の条件を満たし、記載義務を果たしたインボイスによって正確な消費税を計算し、納付を行おうとするのがインボイス制度です。消費税の仕入額控除の方式として、もともと2019年10月1日以前は請求書等保存方式が用いられていました。

 

2019年10月1日に軽減税率が導入されたことにより、区分記載請求書保存方式が採用されています。今後は2023年10月1日以降、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に変わります。なおインボイスの発行ができるのは、適格請求書発行事業者(登録事業者)のみです。

 

売り手がやるべきこと

売り手には買い手に対し、適用税率と消費税を正確に伝えることが求められます。取引先から適格請求書を求められた場合は、軽減税率の対象品目を販売しているかどうかにかかわらず交付しなければなりません。

 

適格請求書は書面を用いる以外に、記録用媒体やオンラインシステムを介した電磁的記録でも可能です。返品や値引きをした場合は適格返金請求書、誤りがあった場合は修正した適格請求書を交付する義務もあります。また交付した適格請求書の写しを保存するのも義務の一つです。

 

買い手がやるべきこと

仕入税額控除を受けるためには、一定の事項を記載した帳簿とともに商品を購入したときに受け取る請求書等も保存しておくことが要件です。インボイス制度の導入後、仕入税額控除の対象となるのはインボイス(適格請求書等)のみになります。

 

ただし請求書等の交付を受けるのが難しい取引の場合は、帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められるケースもあります。帳簿の記載方法自体は現行の区分記載請求書保存方式と変わりありません。

 

3.インボイス制度導入で変わること

インボイス制度が導入されたら、実際にどのようなところが変わるのか、課税事業者と免税事業者双方の状況を確認しておきましょう。

 

課税事業者

課税事業者からのインボイスは仕入税額控除の対象になりますが、免税事業者から発行される請求書等は適格請求書ではありません。よって仕入税額控除の対象外となり、適格請求書発行事業者からのインボイスと分けて処理しなければならなくなります。その分、買い手側にとっては経理が煩雑になります。

 

免税事業者と取引を続けたい場合、消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者に変更してもらい、適格請求書発行事業者の登録をしてもらうことを検討しなければなりません。変更してもらえない場合は、取引先の業者を変えることも考えなければならないでしょう。

 

免税事業者

課税事業者との取引がある免税事業者は、インボイス制度の導入後、適格請求書の発行を求められる可能性が高くなります。課税事業者への変更は義務ではないため、そのままでも取引は可能です。

 

ただし取引先にとっては仕入税額控除を受けられなくなることもあり、適格請求書の発行ができないことを理由に、取引を止めると申し出られる可能性もあります。引き続き取引したい場合は、消費税課税事業者選択届出書を提出し、適格請求書発行事業者として登録することも選択肢として考える必要が出てくるでしょう。

 

課税事業者となれば、当然ながら消費税の納税義務も発生します。実際に適格請求書発行事業者として取引を行うためには、適格請求書を発行する準備もしておかなければなりません。

4.適格請求書発行事業者になるための登録申請

課税事業者が適格請求書発行事業者になるための登録申請は、2021年10月1日から受付が開始します。納税地を管轄する税務署に必要書類を提出する方法の他、オンラインのe-Taxからの申請も可能です。

 

申請後は税務署の審査が行われ、登録が完了すると「登録通知書」が届きます。インボイス制度の開始時から適用を受けるためには、2023年3月31日までに申請手続きを行う必要があります。

 

また免税事業者の場合は消費税課税事業者選択届出書を提出し、登録申請をしなければなりません。

 

5.インボイス制度が導入される背景

そもそもインボイス制度が導入されるきっかけとなったのは、消費税の軽減税率が導入されたことです。市場には8%の軽減税率が適用される商品と、10%の商品が出回るようになりました。両方を扱う事業者にとって、異なる税率が混在している状況での経理処理は当然煩雑になります。

 

税金を徴収する側にとっても2通りの税率がある中で課税を適正に行うためには、取引ごとや商品ごとに税率が正しく適用されているかどうか、明確にしておく必要が出てきました。

 

 

 

 

6.【まとめ】

2019年10月1日から消費税額が10%に引き上げられるとともに、8%の軽減税率の適用も開始しました。2023年10月1日からはインボイス制度が導入されることも決まっており、売り手側も買い手側も新しい制度に対応しなければなりません。

 

インボイスが発行できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者だけです。登録は義務ではありませんが、場合によっては登録申請しなければならないケースも出てくるでしょう。インボイス制度の導入によって、自社がどのような対応をすればいいのか、事前に把握しておいてください。

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