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スタッフコラム

大阪事務所
2018.09.19|税の最新情報

所得税と国民健康保険料の還付期限が違う!?

~所得税申告の更正の請求(還付)をしても、過去年の国民健康保険料が還付されない場合があります!~

今回は税金と社会保険の関係についてのお話です。
まずは税金、所得税の話から。

1.所得税が戻ってくる(還付)とは?

■所得税は毎年1月から12月の1年間の給料・年金・事業所得・不動産収入など、それぞれの収入を集計し、年末調整や確定申告で確定・精算される税金です。

 

会社勤めで収入は給料のみという方は、通常年末調整で所得税の精算が完了しますので、確定申告は不要となります。

ただ、このように確定申告が不要な場合であっても、年間の所得金額について計算した所得税額が多かった時は、確定申告することにより一旦納め過ぎた所得税が還付されることがあります。

この申告を還付申告といいます。

 

還付申告書は、その該当年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

 

 

 

■もう一つ同様に所得税が還付される手続きとして「所得税の更正の請求」というものがあります。これは、確定申告書をすでに提出した方が、本来より多く所得税を申告してしまっていた場合に「所得税の更正の請求」を提出することにより所得税の還付を受けるものです。

 

 

具体的な事例をあげますと、次のような場合です。

 

 

ひかり太郎さん  税理士事務所開業、他に賃貸している貸家有り

 

このような人の場合は、税理士事務所として事業を行っている事業所得と、貸家から得た不動産収入に係る不動産所得を、毎年翌年3月15日までに確定申告することになります。

ところが、このひかり太郎さん自身、及びその家族が長期に渡って病院で治療を受けており、相当な治療費負担がありました。本来でれば、確定申告の時に「医療費控除」を申告すれば納める税金が少なくなっているはずです。(まあ、税理士でありながら「医療費控除」を忘れるとは考えにくいのですが・・・)

そこで、本来控除できるはずの医療費控除を申告するため「所得税の更正の請求書」を税務署へ提出することになります。それにより多く納税していた所得税が還付されることになります。

「所得税の更正の請求」の期限は、原則として申告書を提出した日又は所得税の法定期限日のうちいずれか遅い日から5年以内です。

 

2.国民健康保険料額ってどのように決定されている?

では、ここから社会保険の話に変えましょう。

 

 

■自営業の方の多くが国民健康保険料に加入されていると思います。この国民健康保険料はどのように計算されているのでしょうか。

 

これは、あの所得税の確定申告書をもとに住民税が計算されているのですが、その住民税を計算するための所得金額をもとに国民健康保険料も決定されています。

ということは、先ほどの例のひかり太郎さん、所得税の更正の請求を提出したことで、過去の所得金額減ったことになるため、それをもとに計算されている国民健康保険料額も返金されるだろうと考えます。

 

 

■ところがここで問題が!

 

所得税と国民健康保険では過去にさかのぼって還付される期間が違うために、過去年の所得金額を修正しても、国民健康保険料は返金されない場合が発生するのです。

先ほどもご紹介した通り、所得税の更正の請求は、おおむね5年遡って申告(還付を受けること)が可能ですが、国民健康保険は違います。

国民健康保険法では、保険料の還付可能期間、当該年度における最初の保険料の納期の翌日から起算して2年であり、それを経過した日以後においては、することができない、とされているのです。この改正は平成26年6月にされており、平成27年分以降の保険料額決定分から適用されています。

 

 

具体的な例をいうと

 

ひかり太郎さんが医療費控除の申告が漏れていたことに気付き、平成30年9月に過去4年の所得税の更正の請求書を提出したとしましょう。

所得税と国民健康保険料の還付は下記の通りとなります。

 

  所得税

国民健康保険料

平成26年 還付 還付
平成27年 還付 還付されない
平成28年 還付 還付
平成29年 還付 還付

 

 解説すると、平成28年と29年は2年以内なのでもちろん還付されます。平成26年は国民健康保険法の改正前であるため還付されますが、平成27年は改正後の決定期間制限に該当し、還付されないということになります。

 

3.手続き漏れはないですか?

このようなことにならないためにも・・・

 

★過年度の確定申告がまだの方、申告済の方で修正が必要な方は早めに手続きをしましょう!

★国民健康保険の脱退手続きがまだの場合などは早急に届出を出しましょう!

 

 

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