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スタッフコラム

2017.09.25|経営

法人税申告書の別表の書き方をわかりやすく解説!

会社が決算を迎えると、一年の所得に対する法人税額を算定するために、法人税申告書を作成し、税務署に提出しなければなりません。ただ、その法人税申告書については、「別表」という複数の書類に内容や金額を記載しなければならないため、苦手意識をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は、その別表調整の必要性と別表の書き方について解説していきます。

1.別表って何?

別表とは会計上の利益に税務上の加算、減算項目の税務調整を加えて課税所得を導く過程を記載する書類です。

 

別表の種類はどれくらいある?

主な別表は、

  • 別表一
  • 別表四(所得の金額の計算に関する明細書)
  • 別表五(一)(利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書)
  • 別表五(二)(租税公課の納付状況等に関する明細書)

この4種類となります。また他にも、

 

  • 別表二(同族会社等の判定に関する明細書)
  • 別表六(所得税額の控除に関する明細書)
  • 別表八(受取配当等の益金不算入に関する明細書)
  • 別表十五(交際費等の損金算入に関する明細書)
  • 別表十六(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)

といった別表も頻繁に利用されます。全ての別表を合わせると、100種類以上にものぼります。

2.別表調整はなぜ必要?

会社は決算を迎えるにあたって、会計上の決算書を作成します。単純に、この決算書の利益に税率をかけたら良い様な気がしますが、実際は会計の利益に税務の調整である別表調整を行い所得を算定し、その所得に税率を乗じます。

 

ではなぜ、このようなわかりづらい方法をとっているのでしょうか。

 

会計上の利益計算と法人税上の所得計算の目的の違い

決算書で計上されている会計上の利益計算と法人税上の所得計算では目的が異なります。会計上の利益は、会社の成績表なようなもので、企業内部や第三者に対する経営成績や財政状況の報告を目的としています。

 

それに対して、法人税上の所得は、どの会社も適正に課税することを目的としています。そのために、決算書の利益に対して別表上で加算や減算の調整を行った上で、課税所得を計算し、法人税を算定することが必要となるのです。

3.別表の書き方

今回は特に重要度が高い、別表一、別表二、別表四、別表五(一)、別表五(二)の書き方を解説していきます。

 

別表一

別表一は、納税地や法人名、住所等の基本情報を上段に記載します。下段には別表四で計算した所得金額を基に最終的な法人税額を記載します。そのため、すべての別表の表紙のようなものとなっています。また、法人税の軽減税率や税額控除などもこの別表で計算します。

 

別表二

別表二は、会社が同族会社に該当するか判定するため、その会社の株主の名前と住所、株式の所有持分を記載します。そのため、株主名簿の代わりとして第三者に確認されることがあります。

 

別表四

別表四は、法人税の損益計算書のような存在です。法人税の所得金額を算定することを目的としており、会計上の利益から加算や減算の調整額を記載します。

 

この別表4は実務上、2段階に分けて作成されることが多いです。1段階目は、税金計算する前の当期純利益をスタートとした場合、2段階目は税金計算をした後の当期純利益をスタートとする場合です。なお、一段階目が税引前当期純利益としていない理由は、会計処理の方法によっては、中間納付を損益計算書に計上している可能性があるためです。

 

なぜ、2段階に分けるのかといいますと、別表四を作成する前は、税金の計算は出来ておりません。そのため、1段階目の当期純利益を基に税金を確定させます。その確定させた税金を会計に反映させて、2段階目の最終的な当期純利益を算定します。

 

そのため、1段階目の当期純利益と2段階目の当期純利益では金額が異なっています。ただし、税金はどちらも変わりません。これは、確定した税金(未払分)を別表上で加算するため、会計上で当期純利益が変わっても、所得は変わらないということになるのです。

 

具体的には、次の通りです。

 

(1)1段階目

当期純利益 500万円

加算項目 200万円(交際費等の損金不算入)

減算項目 100万円(受取配当金の益金不算入)

課税所得 600万円

税金 180万円(実効税率30%)

 

(2)2段階目

当期純利益 320万円(=500万円△180万円)

加算項目 180万円(税額分加算)

加算項目 200万円(交際費等の損金不算入)

減算項目 100万円(受取配当金の益金不算入)

課税所得 600万円

税金 180万円(実効税率30%)

 

結果、当期純利益が変わっても、課税所得に影響はありません。

 

別表五(一)

別表五(一)は、法人税の貸借対照表のような存在です。別表四で加算、減算した留保項目はこの別表と必ず連動します。

 

別表の上段は利益積立金額を記載します。特に、別表五(一)の「繰越損益金」と決算書の「繰越利益剰余金」の金額は増減が一致しますので、金額記載の際には注意が必要です。また、別表五(一)の「納税充当金」と決算書の「未払法人税等」の金額も増減が一致します。

 

別表の下段は資本金等の額を記載します。別表五(一)の「資本金」と決算書の「資本金」の金額が一致します。資本金に変動がある場合、増減額を記載します。

 

別表五(二)

別表五(二)は、租税公課の納付状況について記載します。具体的には、租税公課や法人税、住民税、事業税の内訳と、未払法人税等の内訳がメインとなってきます。

4.まとめ

今回は、別表調整の必要性と別表の書き方をご説明しました。ただ、前述した内容はあくまで一部の別表のみです。実際の実務ではそれ以外の数多くの別表も扱います。別表の書き方等につきまして、ご不明な点等ございましたら、お気軽にご相談下さい。

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