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スタッフコラム

2017.11.30|経営

資金繰り計画の基本的な考え方

企業にとって利益を出すことはとても大切ですが、資金繰りを把握することも大切です。

なぜなら、損益計算書の利益と、企業の資金繰りは一致しないからです。利益がでているから資金繰りも問題ないと安易に考えるのは間違っています。

1.資金繰りを考えないとどうなるか

具体的には次の例になります。

  1. 商品を1個1万円にて100個掛けで仕入れました。
  2. 商品を1個2万円にて30個掛けで売却しました。
  3. 掛け仕入代金100万円を支払いました。
  4. 掛け売上代金60万円を受取りました。

 
上記から、企業の損益計算上では①と②より

 

  • 売上高:60万円(2万円×30個)
  • 仕入高:30万円(1万円×30個)※
  • 利益:30万円(60万円-30万円)

※企業の損益計算上では仕入れた商品は売却されない限り仕入高に計上されません。在庫商品(資産計上)になります。

 

しかし、資金繰りでは、③と④より

  • 営業収入:60万円
  • 仕入支出:100万円
  • 現金増減:▲40万円(60万円-100万円)

利益は30万円計上されていますが、現金は40万円不足している状態です。

 

またもし、上記の例に次の条件が加わると

5.給与20万円を支払いました。
6.借入金10万円(元金)支払いました。

損益計算上では、⑤が損金になるので

 

  • 利益:10万円(30万円-20万円)

資金繰りでは、⑤と⑥より

  • 現金増減:▲70万円(▲40万円-20万円-10万円)

10万円の利益が出ているにもかかわらず、現金は70万円も不足していることになります。もしこの企業に現金余剰が70万円以上ない場合は仕入代金・給与・借入金が支払えず黒字倒産してしまいます。

 

黒字倒産を防ぐためには、損益計算書の利益だけでなく期中の資金繰り計画を作成し、将来の現金の出入りを予測して、資金管理を十分余裕をもって対応・対策を行うことが大切です。

2.資金繰り計画の立て方

資金繰り表は、試算表などの貸借対照表や損益計算書の様に決まった形式はありません。電卓を使用して手書きで作成も出来ますが、かなり大変な作業となります。

 

来期の損益計画は、予算(目標)という観点で、損益の実績と計画を比較するため一度作成すると基本的には更新しません。しかし、資金繰り計画は資金需要を将来に予測し「備える」という観点なので何度も更新する必要があります。手書きで作成すると忘れてしまう・計算間違い・書き直しなど起こるのでオススメしません。エクセルなど表計算ソフトを使って作成されると良いでしょう。また資金繰り計画を立てる期間は、数ヶ月先から一年先程度で大丈夫です。

 

資金繰り計画を立てる上で、基本的に考慮していただく項目があります。

  1. 前月繰越金額
  2. 当月収入金額
  3. 当月支出金額
  4. 次月繰越金額

これらを考えて頂ければ、基本的な資金繰り計画を立てることが出来ます。

 

ではそれぞれの項目を詳しく解説します。

 

①については、月初に保有している現金・預金の金額になります。ここでは売掛金・受取手形は含みません。

 

②当月に現金・預金として入金される金額のことです。ここで売掛金や受取手形を考えていただく必要があります。飲食店のような業種の場合は、現金収入=売上となりますが、売上代金を後で回収する「売掛」が発生する際は、その掛け金額が回収できる月にこの項目に計上をして下さい。また受取手形も同じく回収(決済)できる月に計上をして下さい。

 

③当月に現金・預金から支払う金額のことです。ここでも買掛金や支払手形を考えていただく必要があります。掛けを支払う・手形決済を行う月にこの項目に計上して下さい。また借入金の返済がある場合は返済金額も計上することも忘れないで下さい。

 

④については、①+②-③より計算した金額になります。そして、来月の資金繰り表①の計上金額になります。

 

上記のように考えていただければ簡単な資金繰り計画は作成できます。ただ始めてみると考えることがたくさんあり難しいかもしれません。まずは、ご自身の企業の入金サイトを把握して下さい。売掛金が発生してから(売上計上・請求書を取引先に出してから)何ヶ月後に入金されるのかなどです。

 

支払サイトも同じく、取引先から請求書が届けば、いつ支払うのか分かると思います。他の支出としては借入金の返済金額や、家賃、給与などは予測しなくても基本一定ですので分かりやすいでしょう。

 

そして、もしも④の金額がマイナスの場合はその月は資金不足ということになりますので、対策が必要になってきます。例えば経費削減、受取手形の割引や、借入金のリスケなどです。

3.最後に

上記の資金繰り計画は、簡単な作成方法の考え方です。資金繰り計画はもっと細かく「営業活動」「投資活動」「財務活動」のキャッシュフローに分けることが出来ます。活動ごとに資金繰り計画を作成した際は、どの活動が資金繰りを圧迫しているのか分析も出来、資金管理の対策・対応もやり易くなります。

 

もし資金繰りでお困りの方や、興味、質問等ありましたら是非一度弊社にお問い合わせください。

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