私たちひかり税理士法人では、広報活動の一環として「HAGレポート」を作成し、 クライアント企業をはじめ関係先の方々にお届けしています。
2012(平成24)年も何卒よろしくお願いいたします。今年は辰年ですが、この「辰」には、「奮い立つ」や「新しい朝」といった縁起の良い意味があるとされています。もっとも、十二支と十二獣の関係では「龍」あるいは「竜」が当てられていますが、これは実在しない伝説上の獣です。例えば、乗り越えなければならない難しい関門のことを登竜門といいますが、これは黄河の上流にある「竜門」という急流を上りきった鯉が竜になるという伝説に由来すると言われています(ちなみに、登竜門という門があるわけではないので、「登竜門をくぐる」という表現は誤りです)。
ところで、竜に関しては、物事を完成するために最後に加える大切な仕上げの喩えとして「画竜点睛」や、初めのうちは勢いがよくても終盤になると振るわなくなることの喩えに「竜頭蛇尾」が用いられます。
私たちも年頭に際して、画竜点睛を欠くことなく、また竜頭蛇尾とならないよう心掛けていきたいと誓い合っているところです。
昨2011年は真珠湾奇襲攻撃による日米開戦から70年が経過した節目の年でした。これに応じて年末には時の連合艦隊司令長官をテーマにした映画も封切られていたようです。
実は、年末にオアフ島を訪れ、年末年始を常夏のリゾート地で過ごす多くの日本人を横目に真珠湾にあるアリゾナ記念館へ行ってきました。日本海軍機動部隊の奇襲攻撃によってアメリカ太平洋艦隊の戦艦アリゾナは大破沈没したのですが、その沈没船体の上に記念館が建てられています。それは戦死者の慰霊碑であり、従って入場料など不要という説明とは裏腹に実質は文字通り「リメンバー・パールハーバー」であり、戦争遺産を戦意高揚に繋げる米国流の周到なプロパガンダであることを痛感しました。

つまり、彼らは「負け戦」を後世に残すことによって失敗を繰り返さないことを訴えているのです。緒戦の戦果に目を奪われ、その後のミッドウェイ海戦などで相次いで敗退した事実から目を背け続けた国との違いを改めて認識しました。失敗から学ぶ国と成功からも失敗からも学ばない国とでは最初から勝負にはならなかったのです。
年末のドラマ「坂の上の雲」で描かれた日本海海戦の成功体験が原点となって真珠湾奇襲攻撃で航空戦力の機動性に着目しながら結局は艦隊決戦に拘泥して破滅した日本海軍。これを「竜頭蛇尾」というのは容易いのですが、この失敗から現在の我々が学ぶべきことは少なくないことを感じつつ真珠湾から西に傾く夕陽を見ていました。
昨年12月10日に平成24年度税制改正大綱が閣議決定されましたが、実は12月24日には早速一部が改正されています。マスコミも報じないので知る人は少ないのですが、「沖縄関連税制」として各種特区税制の拡充や国際物流産業集積地域の創設などの措置が挿入されています。なにやら米軍基地の移転問題と関連がありそうですが、わずか2週間足らずで改正するのは余りに準備不足と言うほかはありません。
もっとも、消費税率の引上げが焦点となる税制抜本改革の議論を控えていることから、内容的には小粒なものに留まっていますので、やはり関心は消費税の問題にあると言えましょう。
さて、その消費税に関する焦眉の関心事は税率の引き上げについてですが、与党税制調査会は年末間際の12月29日にようやく「税制抜本改革について(骨子)」をとりまとめました。それによりますと、「税率は2014年4月に8%、2015年10月に10%とする」と明記されています。また、「前回総選挙において付託された政権担当期間中において、消費税率の引き上げは行わない」とも述べています。
歳出削減が奏功しない中で消費税の増税に国民の共感が得られるのかどうか、また国会審議も首尾良く捗るのかどうか、そのハードルは決して低くないと予想するのですが…
なお、今年も恒例の税制改正セミナーを開催します。詳細は別途お知らせしますが、2月7日から9日にわたって京都・滋賀・東京・高崎の各会場で実施します。
おかげさまで監査法人が設立5周年をえます。平成19(2007)年6月から数えて満5年。関係各位のご支援とご協力に助けられて順調に推移できたことは感謝に堪えません。今後もよろしくお願いいたします。(文責:光田)
平成24年度 税制改正大綱 速報
政府税制調査会は平成23年12月10日、平成24年度税制改正大綱を発表しました。
平成23年度の税制改正法案については、国会での衆参ねじれ現象や東日本大震災などの影響により未成立のまま繰り越されましたが、その後6月に分離修正された期限切れ租税特別措置法の延長等の法案が成立し、その他の事項では11月30日に法人課税と納税環境整備に関する事項に限定した形で成立しました。
このような経緯の下、平成24年度税制改正においては、新成長戦略に向けた税制措置、税制の公平性確保と課税の適正化に向けた取組み、地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制度改革、平成23年度税制改正における積残し事項への対応といった、特に喫緊の対応が必要な事項を中心に改正を行うこととされました。
さらに平成23年度税制改正の積み残し事項のうち平成24年度税制改正大綱に盛り込まれなかった事項については、「社会保障と税の一体改革」として検討が進められています。
以下、皆様の関心が高いと思われる項目を中心に、平成24年度の主要な税制改正ポイントについて、ご紹介いたします。
なお、税制改正大綱は法案化された後、通常国会の承認を得て実施されるため、今後の法案審議の行方や各改正項目の適用時期等、詳細な内容につきましては、弊事務所の担当者までお尋ね下さい。
また、2月8日(京都)、2月10日(滋賀)に開催する恒例の「HAGレベルアップセミナー」において、より具体的な情報をお届けしますので、是非ご参加下さいますようお願いいたします。
| 規定内容 | 延長期間 |
|---|---|
| 試験研究費の増加額に係る税額控除または平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる。 | 平成26年3月31日までの2年間延長 |
| 規定内容 | 延長期間 |
|---|---|
| 中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した際に損金に算入することができる。 | 平成26年3月31日までの2年間延長 |
| 規定内容 | 延長期間 |
|---|---|
| 資本金の額が1億円超の法人が支出した交際費等については、全額が損金不算入となる。 また、資本金の額が1億円以下の法人が支出した交際費等について、定額控除額600万円までは90%が損金算入となる。 |
平成26年3月31日までの2年間延長 |
| 規定内容 | 延長期間 |
|---|---|
| 長期所有の土地・建物等から国内にある土地・建物・機械装置等への買換えについては、買換資産の土地等の範囲を事務所等の一定の建築物等の敷地の用に供されているもののうち、その面積が300平米以上のもの等に限定する。 | 平成27年3月31日までの3年間延長 |
| 規定内容 | 延長期間 |
|---|---|
| 対象資産に製品の品質管理向上に役立つ試験機器等が追加されるとともに、デジタル複合機の範囲も見直す。 | 平成26年3月31日までの2年間延長 |
対象資産のうち太陽光発電設備や風力発電設備を「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の認定設備で一定の規模以上のものに限定した上で、これらの設備を平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間に取得し、事業の用に供した場合には、即時償却ができます。
勤続年数が5年以下の法人役員等の退職金については、退職所得控除額を控除した残額に対して課税されます。また、退職所得に係る個人住民税の10%税額控除が廃止されます。
| 現行 | (1,000万円−40万円×5年)×1/2=400万円 →37万円の所得税 |
|---|---|
| 改正後 | (1,000万円−40万円×5年) =800万円 →120万円の所得税 |
この改正は、平成25年分以後の所得税および平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当等に係る個人住民税について適用されます。
「低炭素まちづくり促進法(仮称)」に規定する認定省エネルギー建築物(仮称)のうち一定の住宅の新築等をして、平成24年または平成25年に居住の用に供した場合における住宅借入金等の年末残高の限度額と控除率が、次のとおりに拡充されます。
| 居住年 | 控除期間 | 住宅借入金等の年末残高の限度額 | 控除率 |
|---|---|---|---|
| 平成24年 | 10年間 | 4,000万円 | 1.0% |
| 平成25年 | 10年間 | 3,000万円 | 1.0% |
| 規定内容 | 延長期間 |
|---|---|
| 特定の居住用財産の買換えおよび交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡対価に係る要件を1.5億円(現行:2億円)に引き下げる。 | 平成25年12月31日までの2年間延長 |
| 規定内容 | 延長期間 | |
|---|---|---|
| (1) | 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度 | 平成25年12月31日までの2年間延長 |
| (2) | 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度 | |
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用対象となる住宅用家屋の床面積を原則240平米以下とした上で、適用期限が3年間延長されます。
なお、非課税限度額は次のとおりになります。
| 贈与年度 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 |
|---|---|---|---|
| 非課税限度 | 1,500万円 | 1,200万円 | 1,000万円 |
| 贈与年度 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 |
|---|---|---|---|
| 非課税限度 | 1,000万円 | 700万円 | 500万円 |
林業経営相続人が、森林経営計画(市町村長の認定、農林水産大臣の確認を受けたものに限ります。)が定められている区域内にある山林につき、認定計画に従って施業を行ってきた被相続人からその山林を一括して取得し、施業を継続する場合には、その林業経営相続人が納付すべき相続税額のうち、その山林に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
相続税の連帯納付義務について、申告期限から5年を経過した場合、または納税義務者が延納もしくは納税猶予の適用を受けた場合には、連帯納付義務が解除されます。
この改正は、平成24年4月1日以後に申告期限が到来する相続税について適用されます。ただし、同日において滞納となっている相続税についても、上記の改正と同様の扱いとなります。
土地に係る固定資産税の負担調整措置について、商業地等では現行の仕組みが3年間延長されますが、住宅用地における据置特例については、不公平の是正の観点から、経過的な措置が講じられた上で、平成26年度に廃止されることになります。
また、新築住宅に係る固定資産税の減額措置については2年間延長されます。
国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあること等から、国外財産に係る所得税・相続税の適正な課税と徴収のため、12月31日において価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を所有する場合には、その財産の種類、数量と価額等を記載した「国外財産調書」を翌年3月15日までに税務署長に提出しなければならないとされました。
さらに国外財産に係る所得の申告漏れがあった場合の加算税について、調書に記載のある部分については過少申告加算税または無申告加算税が5%軽減され、調書の不提出または記載不備に係る部分については5%加重されることになります。(文責:中島)
<更正の請求の改正>〜確定申告をした後に、税金を納め過ぎていることがわかった場合に訂正することができる期間が延長されたと聞きました。どのような内容でしょうか?
申告書を提出したあとで、税金やその計算のもとになる金額を実際よりも多く申告したことがわかったときは、「更正の請求」という手続きにより訂正を求めることができます。
これまで更正の請求は、法定申告期限(申告書を提出する期限をいいます。所得税は3月15日、法人税は決算日から2ヶ月後です。)から1年に限ってすることができましたが、法定申告期限から5年に延長されるという画期的な改正がされました。
平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。
今回の改正では、当初の申告書に記載しない場合などには受けられない税務上の特典や、当初の申告書に記載した金額を限度とする税額控除などの特典が、一定のものについては更正の請求をすることで事後的に適用を受けられたり、限度額を超えて正しい金額に訂正できたりするようになったことも特徴です。
今回の改正に伴い、改正前の平成23年12月2日よりも前に法定申告期限が到来したものについても、税目ごとに定められた期間内であれば「更正の申出」により訂正する手続きが設けられました。なお、主な税目では、所得税が3年、法人税が5年となっています。
一方で、更正の請求に際しては、更正の請求の理由の基礎となる、「事実を証明する書類」の添付が必要となることが明確化されるとともに、偽りの請求に対しては罰則が設けられました。
これまで、期限を経過して諦めざるを得なかったケースも対象になり得ますので、納税者にとって大変有利な改正といえます。
(文責:東京事務所 今井)