私たちひかり税理士法人では、広報活動の一環として「HAGレポート」を作成し、 クライアント企業をはじめ関係先の方々にお届けしています。

目次

  1. はじめに
  2. 年金はどう変わるの?
  3. 会社法制の現代化について

はじめに

去る六月五日、年金改革関連法が国会で成立しました。今後の百年を見据えた制度改革とのことですが、果たしてその通りなのかどうか、保険料を負担する立場から十分なチェックが必要と思います。そこで、この夏号では年金改革の骨子について特集を組んでみましたので、皆様も年金問題に関してもう一度考える機会にしていただければ幸いです。

一方、年金問題と切り離せない税目といえば消費税ですが、四月からスタートした総額表示制度も市場で認知されつつあるようです。過日、ドイツへ出張する機会がありましたが、あちらでは当然のごとく総額表示で、店頭の価格は全て付加価値税を含んだものとなっています。何しろ税率が十六パーセントですから、税抜き表示では税額を暗算するのにも骨が折れますし、なによりも税負担の大きさが気になって仕方がありません。その点、税込み価格表示ですと、「ま、こんなものか」と、ついつい財布のひもは緩みがち。痛税感あるいは担税感を麻痺させるという意味ではベストの方法でしょう。我が国においても近い将来、消費税率が二桁に引き上げられることは、もはや既定路線と言っても過言ではありません。

もう一つ目が離せないのが、会社法制の大改正です。最低資本金(現在、株式会社で一千万円、有限会社で三百万円)の撤廃をはじめ、取締役の定員削減など、従来では想像できなかった新たな制度が盛りだくさんとなっています。会社経営に与える影響は大きく、その意味で事前の対応を怠らないようにしたいものです。詳しくは四頁をご覧下さい。内容充実のHAGレポート夏号をお届けします。

はじめに

去る 6 月 5 日、終盤国会の最大の焦点だった年金改革関連法が参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、成立しました。成立前から何かと話題になっていた年金について今回は皆様に興味を持っていただけるような内容に絞って解説させて頂きます。


会社員の保険料負担の変化

会社員が加入する厚生年金の保険料は現在年収の 13.58% となっており、この金額を労使折半しています。今回の制度変更により 2004 年 10 月より毎年 0.354% ずつ引き上げられ、 2017 年以降は 18.30% で固定されることとなります。

【参考計算例】年収 500 万円 45 歳サラリーマンの場合
本人負担年額保険料の推移
2004年現在 2017年(年収変更無の場合)
339,500円 457,500円(134.7%増)

標準月額報酬と保険料限度額の変化

厚生年金は月収を『標準月額報酬』に当てはめて保険料を計算することとなっています。そしてこの標準月額報酬には上限が設けられており、標準月額報酬が 62 万円を超える給与所得者はすべて同一の保険料となっています。

今回の改正により、標準月額報酬の具体的な引き上げは制定されていませんが、今までは 5 年ごとの法改正で上限の見直しが行なわれきたものが、厚生労働省の政令のみで引き上げを行なうことが可能となりました。


自営業者やフリーターなどの保険料負担の変化

国民年金については現状本人の全額負担で月額 13,300 円ですが 2005 年 4 月より毎年 280 円ずつ引き上げられ 2017 年以降は 16,900 円( 127.0% 増)に固定されることになります。 ■固定化の落とし穴


固定化の落とし穴

この 280 円ずつの上昇、 16,900 円での固定化というのは今後貨幣価値が現在と変わらないと仮定した場合の数字となります。実際に厚生労働省の仮定する長期的な名目賃金上昇率をあてはめると 2017 年度の保険料は 20,860 円となることが予想されます。


マクロ経済スライドとは?

今回の改正からお目見えした給付水準を調整する一見して難解な言葉ですが、簡単に言うと、従来のように賃金スライドや物価スライドだけでなく賃金と労働力人口といった社会全体の保険料負担能力(支える力)の変動に見合うような年金改定率(スライド率)をいい、この調整によって賃金上昇率や物価上昇率よりも年金額の伸びを抑えることとなるのです。


受給後の給付水準。

『 50% 確保』(現役世代の平均的収入の 50% を確保する給付水準の維持)という言葉も今回の改正でよく耳にされたことと思いますが、これは厚生労働省が考えるモデル世帯(夫が 40 年間加入、妻が専業主婦)についての給付水準をうたったものにすぎません。例えば、同じ 1960 年生まれで受給開始時の給付水準を比較する場合、モデル世帯では 50.2% 、妻が専業主婦でない場合には 39.3% 単身男性だと 36.0% となりますので、大半の世帯は現役世代の 50% を確保できないというのが実情です。


在職老齢年金制度の見直し

今回の改正により、高齢者が意欲的に働くことができるような仕組づくりがなされました。改正項目としては、現在は在職しながら年金を受給するものについて、『年金の一律 20% 相当を支給停止』されているため、下図のように給与の受給額が少なくても年金が一定の率でカットされていたのですが、改正後には『給与と年金の合計額が 28 万円を超える場合には超えた部分の 50% 部分相当の年金の支給停止、給与が 48 万円を超えた部分については、その超えた部分の金額の年金の支給停止』ということになりました。なお、働き続ける 70 歳以上の保険料負担は現状 0 円ですがこちらついては継続されることとなっています。

《60歳から64歳の在職老齢年金受給者の場合》

給与
(万円)

本来の年金額
現状
改正後
年金受給額
年金受給額
10
20
16
19
20
20
12
14
30
20
7
9

離婚時の厚生年金の分割についての見直し

離婚した場合の年金の分割については、その対象者の状況によって適用時期や対象が相違してきますので注意しておきたいところです。

《離婚時の厚生年金の分割》  
新制度では、厚生年金の保険料を夫婦共同で納めたものとみなして、分割比率を協議の上、結婚期間に相当する厚生年金を分割できることとなりました。分割割合の上限は 1/2 とされており、合意が夫婦間でなされなかったときは、家庭裁判所に申出ることができます。なお、この適用は 2007 年 4 月以降に成立した離婚が対象です。

《専業主婦の厚生年金の分割の場合の注意》  
左記の厚生年金の協議分割の他、専業主婦やパートで働く年収 130 万円未満である主婦については 2008 年 4 月以降に夫が納めた保険料に対応する年金の 1/2 を自動的に受け取れる権利が与えられることとなりました。なお、自動的に 1/2 を分割されることとなるのは、 2008 年 4 月以降の納付保険料に対応する部分のみとなりますので、それ以前の保険料に対応する年金については分割割合が定まっていないため、離婚時に協議して決める必要があります。共働き夫婦は、 2008 年度以降の期間についても分割割合を協議することとなります。


子供のない 30 歳未満の妻の遺族年金の見直し

遺族厚生年金については手厚かったものが今回の改正で大幅削減されることとなりました。これまでは、厚生年金に加入していた夫が死亡した場合には、無期限で夫の老齢厚生年金の 3/4 を受給することができました。しかし、雇用における男女格差の縮小などをふまえて今回の改正により子供のいない 30 歳未満の妻に対しては、受給期間が 5 年となることとなりました。また、今まで夫死亡時に 35 歳から 40 歳であった妻が受け取ることができた『中高齢寡婦加算』はその対象が 40 歳以上に引き上げられることとなりました。


短時間労働者への厚生年金の適用拡大見送り

従来から検討されていた 1 週間所定労働時間 20 時間以上のパートタイマーの年金加入については、就業形態の多様化の進展をふまえつつ、また該当労働者が多く、就業する企業への影響、雇用への影響をふまえて法施行後 5 年を目処として総合的に検討が加えられることとなりました


会社法制の現代化について

改正の趣旨、目的

会社法制の見直しが検討されているのをご存じでしょうか。見直し内容としては、@会社法制の現代語化、A実質改正の二本柱で見直し作業が進められております@の会社法制の現代語化については、現在カタカナで表記されている法律について平仮名表記に改めること、いくつかの法律に分かれている会社に関する法律を一つの法律にまとめることを目的に、Aの実質改正については、会社に係る諸制度間の規律不均等の是正等を行い、最近の経済情勢にマッチした内容に改正を行うことを目的としています。このページでは皆様に関係の深い部分に対応する改正内容を紹介したいと思います。

最低資本金が撤廃の方向に!
  6 月 9 日に開かれた「法制審議会」で最低資本金見直しの方向性が固まりました。もちろん現段階では、法案が提出される前段階で、確定ではありませんが、株式会社・有限会社ともに最低資本金の規制を設けずに、資本金が 1 円でも会社を設立できるように改正される見込みです。もし、この改正が実現すれば、昨年 2 月に手当てされ特例会社(最低資本金の規制を受けない法人設立)の条件であった 5 年以内に最低資本金まで増資する規制もなくなることになります。
 → 税務申告に対する影響について
設立時資本金が 1,000 万円以上であれば、第 1 期目から消費税を納める納税義務者になりますが、この撤廃により株式会社であっても初年度から免税事業者になることが可能となります。

(改正の趣旨)
●現在の最低資本金は、平成 2 年の商法改正(株式 1,000 万円、有限 300 万円)で定められたもので、当時バブル経済を背景に節税等の目的で法人設立件数が増加したことに対し、新設法人の乱立に歯止めをかける意味で最低資本金額を引き上げたわけです(株式 50 万円→ 1,000 万円、有限 10 万円→ 300 万円)。それから約 15 年が経過した現在において経済情勢は 180 度変化し、当時の改正の趣旨が実態に合致しなくなったこと、民間から現行の最低資本金の金額が高すぎるとの批判が出ていることなどが考慮され見直しに至っています。


譲渡制限株式会社の役員定数の規制緩和

・取締役は 1 人でも可(現在は取締役 3 名以上必要)
・監査役の設置は任意(現在は 1 名以上必要)
・取締役・監査役ともに任期を撤廃(現在取締役 2 年、監査役 4 年)
  →役員改選登記の必要がなくなる。

上記の改選が実現すれば、「役員改選の登記などが省略できる」、「形式上の取締役に印鑑の押印をお願いする必要がなくなる」などメリットは大きいものと思われます。

(改正の趣旨)
●多くの株式会社の実態を踏まえ、株式会社に関する規律について、有限会社に 関する規律との一体化を図ることが目的です。また今回の改正案では、株式会社と 有限会社の両会社の類型について、一つの会社類型として規律する方向で検討され る模様です。

実施は平成 18 年 4 月の見込み
会社法制の現代化に関する審議は、この 7 月上旬に議論を終了し、要綱原案が公表される予定です。そして、秋頃には要綱が作成され、年明けの平成 17 年通常国会に法案が提出されます。このスケジュールで進んでいけば、平成 18 年 4 月からの実施となる見込みです。

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