私たちひかり税理士法人では、広報活動の一環として「HAGレポート」を作成し、 クライアント企業をはじめ関係先の方々にお届けしています。

目次

  1. はじめに
  2. 事業承継税制について
  3. 発泡酒とビールどう違うの?
  4. 平成14年度税制改正大綱
  5. 商法改正に伴う株式制度の改正

はじめに

新年、明けましておめでとうございます

今年もよろしくお願い申し上げます。 さて、昨年は事務所のホームページの立ち上げにはじまり、年末には国際品質規格であるISO 9002 の認証を取得するなど、慌ただしい中にも充実した一年を送ることが出来ました。今年は、4月からの改正商法施行や連結納税制度の導入などを控え、事務所としての対応を怠りなきようにスタッフ一同気を引き締めているところです。また、お屠蘇気分が抜けやらぬところで毎年恒例の所得税確定申告に向けた作業がはじまります。ご承知の通り、今年から確定申告書の様式が40年ぶりに見直され、A4版色刷りの立派な書式になりました。書式はともかく、内容に誤りなきよう、これまたスタッフ一同気を引き締めるよう檄を飛ばしているところです。

さて、新春号では 2002 年度税制改正のあらましをお伝えするとともに、話題の「商法改正」についてお話しします。内容は昨年 10 月から施行されている株式制度に関する改正点をまとめてみました。額面株式の廃止や単元株制度の導入など株式会社の運営にとって必須のテーマとなっています。また、古くて新しいテーマとして「事業承継税制」について解説を試みました。経営と税金に関するヒントをつかんでいただければ幸いです。 HAGレポートの「新春号」をお届けします。

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ちょっと気になる情報 事業承継税制について

ここ数年、事業承継に係る税制がクローズアップされていますが、平成 14 年度の税制改正で取引相場のない株式の評価方法が一部改正され、一定の要件を満たせば評価減が可能になりました。

【適用要件】

下記@及びAの双方の要件を満たしている場合に評価減の対象となります。  
@ 被相続人等がその会社の発行済株式等の総数の 50 %以上 を有しており、相続人が 引き続き有 し、かつ、 役員としてその会社の経営に従事 していること。  
A その会社の 発行済株式等の総額 (相続税評価額ベース)が 10 億円未満 であること。

【評価減できる範囲】

相続により取得した株式等のうち、 発行済株式の総数の 3 分の 1 までの範囲で、 3 億円に達するまで の評価額について 10 %の評価減 が可能になります。

【適用に対する注意点】

この評価減の特例を選択した場合には、 小規模宅地についての相続税の課税価格の計算の特例等の適用が停止 されることになるため、この規定が有利になるのか、あるいは小規模宅地の評価減が有利になるのか、 納税者は選択を迫られることになります 。

【適用開始時期】

この改正は、 平成 14 年 1 月 1 日以後発生 の相続から適用することができます。  
また、この取引所の相場のない株式の評価方法の改正にあわせて、取引相場のない株式の物納についての要件及びその取扱いの明確化が行われることになりました。詳細については、後日明らかになる見込みですが、従来通りに物納株式の買い戻しの条件等が付されるものと思われます。

事業承継にかかる平成 14 年度改正については、主なところで上記の評価方法の改正のみにとどまっていますが、各種団体から毎年出されている要望のうち、相続税率の引き下げや事業承継部分の相続税について完全分離課税にする独立型の事業承継税制の確立など未だ実現していない要望が残されており、次年度以降の事業承継関連税制の動向には注意しておく必要がありましょう。

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ちょっと気になる情報 発泡酒とビールどう違うの?

私たちの身近には間接税というものが多数存在しています。納税者と担税者が一致している法人税、所得税、事業税、住民税等が直接税と呼ばれているのに対し、間接税とは納税者と担税者が一致しない税目を指します。この説明では、なかなかピンと来られない方もいらっしゃると思いますが、消費税を連想していただければ間接税についてのイメージが出来上がるのではないでしょうか。その間接税の一つに私たちが普段負担し続けている酒税があります。さて、この酒税ですが、平成 14 年の税制改正において発泡酒の税率の引上げが話題になりました。結果的には、平成 14 年度の改正での引き上げは見送られる形となりましたが、将来的にはこの話題が再浮上することも十分に考えられます。

今回、税率の引き上げが見送られた発泡酒ですが、一体ビールとどの部分がどのように違うのでしょうか。下記の通りまとめてみました。

(定義)   
【ビール】
@ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの ( 麦芽の使用割合 100 % )
A 麦芽、ホップ、水及び米等の一定の副材料を発酵させたもので、一定の副材料重量が麦芽の重量の 10 分の 5 を超えない ( 麦芽の使用割合が 67 %以上 )   
【発泡酒】
@ 酒税法の区分上雑酒に分類されるもののうち麦芽を原料の一部とした発泡性のあるもの
A 麦芽のほか、ビールと同様の原料を使用するもので、麦芽の使用割合が 67%未満のもの (税額)
【ビール】
350 ミリリットル  1 缶あたり約 77 円 70 銭
【発泡酒】
350 ミリリットル  1 缶あたり約 36 円 75 銭  
発泡酒とビールの違いは、麦芽の使用割合によるものであり、わずかな違いにより税額に大きな差が生じていることがわかって頂けたのではないでしょうか。ビールに対し価格面で優位性を保っている発泡酒の税率が上がるようなことになれば、ビールとの価格差が縮まり、近い将来発泡酒が酒屋の陳列棚から姿を消していることが、『ない』とは言い切れないのではないでしょうか。

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平成14年度税制改正大綱

景気回復が遅れ、先行き不透明感が増すなか、平成 14 年度税制改正大綱が自民、公明、保守の与党三党より発表されました。 今回の税制改正では国債発行枠の 30 兆円が足かせとなり、不動産等の資産デフレに対する抜本改正などは先送りされ、産業界の要望は一部盛り込まれたものの、小幅調整にとどまる内容となりました。

連結納税制度の創設と財源措置

マスコミ等で騒がれていました連結納税制度ですが、企業の円滑な再編を促し、国際的な競争力をはかるための手段として、平成 14 年 4 月開始事業年度から適用される運びとなりました。

ここで注目したいのは、連結納税制度の導入に伴う税収減に対しての法人税の課税ベースの拡大措置が設けられた点です。

≪ 連結納税選択法人 に対しての措置≫
@連結納税付加税の導入  
連結所得金額に対する法人税率に、 2 年間の措置として付加的に 2% が上乗せされます。
A子会社の連結前欠損金の持ち込み制限
B新規子会社等の加入制限

≪平成 14 年 4 月 1 日以降開始事業年度より 原則すべての法人 に適用される措置≫
@受取配当の益金不算入割合の引き下げ  受取配当のうち一定の金額は法人税を課さないという制度について、段階的に非課税とされる金額が縮減されることとなりました。
A退職給与引当金制度の廃止  平成 10 年度の税制改正で累積限度割合が 20% に縮減されましたが、今回の改正により、制度自体の廃止と、既に計上されている引当金についても中小法人及び協同組合等については 10 年間で、大法人については 4 年間で取崩しを行うことになりました。

中小企業等関連租税特別措置

厳しい経済環境等を踏まえ、今回の税制改正では中小企業の税負担を緩和するために次のような措置が講じられました。
@中小企業投資促進税制の適用延長と対象の拡大  2 年間の適用期限の延長(平成 16 年 3 月末日まで)が行われたほか、適用対象となる機械装置の取得価額要件が 230 万円以上から 160 万円以上に、同リース費用総額要件が 300 万円 以上から 210 万円以上に引き下げられました。
Aメカトロ税制の廃止  中小企業投資促進税制の充実がはかられた一方、電子機器利用設備に関する税額控除・特別償却制度であるメカトロ税制は現行の適用期限の平成 14 年 3 月 31 日をもって廃止されることとなりました。
B留保金課税の軽減措置  中小企業等に対する特別税率の不適用措置の対象が拡充されるとともに、資本金 1 億円以下の中小法人について、税額の 5 % 相当額が軽減されることとなりました。
C交際費等の定額控除限度額の引き上げ  資本金 1,000 万円超 5,000 万円以下の法人について、定額控除限度額が 300 万円から 400 万円に引き上げられることとなりました。

金融・証券税制  
個人投資家の証券市場への積極的な参加を促す観点から次のような制度が創設、変更されることとなりました。
@一定の上場株式に係る譲渡所得は申告不要に
A老人等マル優が廃止の方向へ

相続税関係  
最高税率の引き下げなどの税率構造の見直しなどは見送られたものの、円滑な事業承継に配慮して次のような制度が創設されました。
@非上場・同族会社株式の評価減特例の創設  
この制度については 2 頁で解説していますのでご参照下さい。

このように今回の改正大綱では、期待された譲渡益課税の見直しや、不動産取得税・登録免許税の軽減などが見送られることとなり、デフレ対策の停滞が懸念されますが、今後の国会審議等の動向に注目したいところです。

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商法改正に伴う株式制度の改正

平成 13 年 10 月の商法改正により、いくつかの大きな改正がありました。今回はその中から次の4点について説明させていただきます。
@ 額面株式制度の廃止  
A 会社設立時の株式発行価額の制限撤廃  
B 株式分割時の 1 株当り純資産額の制限撤廃  
C単位株制度の廃止と単元株制度の導入

T額面株式制度の廃止

旧商法では、株式には、額面株式と無額面株式が認められていました。しかし、株式の時価と額面金額との間には何ら相関関係はなく、額面の持つ意味が薄れている事実がかねてより指摘されていました。そこで今回、額面株式制度が廃止されることになりました。  50 円株式とか 5 万円株式といった呼称は過去のものとなったのです。

U会社設立時の株式発行価額の制限撤廃

旧商法では会社設立時に発行する株式の発行価額は 5 万円以上でなければなりませんでしたが、その規制がなくなりました。会社設立時の発行価額のミニマム規制が廃止されたということは、 1 株 1 円での発行も可能になったわけで、小口の株主を多く集めて会社を設立することが容易になる一方で多数の株主への対応などの問題が生ずることも事実です。したがって、 1 株 1 万円から 5 万円程度が現実的な対応になるのではないかと思われます。

V株式分割時の1株当たり純資産額の制限撤廃

旧商法では株式分割時の 1 株当り純資産額は 5 万円以上でなければなりませんでしたが、その規制が廃止されました。この結果、純資産が少ないにもかかわらず株価が高いベンチャー企業などにおいては、株式分割による株価引き下げが容易になります。つまり、個人投資家の株式購入が容易になるわけであり、企業の市場からの資金調達が促進されるものと考えられます。

W単位株制度の廃止と単元株制度の導入

現在、多くの上場企業が 1,000 株を売買単位としています。いわゆる単位株制度といわれるものですが、この制度のもとでは、単位株に満たない株主は株主総会での議決権が行使できないことになっており、また 1 単位あたりの純資産額として 5 万円以上であることが必要でした。

今回の改正ではこの単位株制度に代わって、新たに単元株制度が導入されました。この制度のもとでは取引単位である1単元を企業が実質的に自由に設定できることになり、 1 取引単位あたりの純資産額 5 万円という規制もなくなりました。

単元株制度の効果は次の通りです。
@株価の高い企業が取引単位を小さくすることにより、 1 取引単位あたりの価額が下がり、個人株主等の投資が促進される。
A株価の低い企業が取引単位を大きくすることにより、今まで難しくコストがかかった株式併合と同様の効果を得ることができる。

なお、この改正とともに取引単位未満の株主(端株主)の取り扱いも次のようにかわりました。

単位株未満 単元株未満
株主の権利 原則として認めい 一部の自益権のみ認める 原則として認める 自益権・共益権のほとんどを認める
議決権 認めない 認めない
(注 1)自益権とは株主の経済的利益となる権利のことです。利益配当請求権、新株引受権、株式転換請求権、名義書換請求権、株券交付請求権、株式買取請求権などがあります。
(注 2)共益権とは会社の利益や運営に関する権利のことです。議決権、帳簿閲覧権、代表訴訟提起権、取締役等の解任請求権、解散請求権などがあります。

以上みてきましたように、株式制度をめぐる商法上の規制の撤廃により、個人投資家の株式市場への参入が容易になることが期待されています。 こうした一連の商法改正が、株価低迷の中、株式投資に距離を置いていた個人投資家を再び市場に呼び戻すきっかけになるのかどうか慎重に見守っていきたいところです。

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